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小詩集~悲惨な糖尿病と闘った父と兄


ハムスターのほっぺたは

異次元ポケット

うろうろしてたら自分が食べられてしまう

一度のおでかけで大量の餌をつめこみ

巣籠もりする

毎日が緊急事態

巣にかえったらほっぺたもみもみ

異次元世界からなんでも出てくる

ひと安心

断酒会ではいつも

アルチュウで糖尿病と

自己紹介をする

大酒呑みで糖尿病で死んだ

父と兄の思いでを語る

脳梗塞から片足をえそで喪い

静かな五年の闘病で亡くなった父

いつもベッドに寄り添い

老いを迎えた三毛猫

生への疑念に沈んでいた私は

父のように酒呑みになって

はたちの命をなんとか保った

やがて兄が糖尿病の

あらゆる合併症を併発し

八年の混乱のすえ

死んでいった

幼い時にみたとさつ場の牛のように

兄が解体される夢におびえ

酒を断とうともがいていた

父さん兄さん

死の情動サナトスに

とりつかれた少年は

まだ生きています

南無観世音聖徳太子に

人生の最期をささげ

死骸として打ち捨てられた

歴史に確かな現実を求める

不確かな生活を楽しんでいます

虚構をはがすほどにゆらめく

現実の愉快な曖昧さ

しあわせです

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