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ATA Show 2015

2015年1月8日、「ATA Show」に行ってきました。古い友達と新しい友達に会いにインディアナポリスまで行ってきました。いつものことで、突然年末に思いたったのですが、パスポートの期限は切れているは、飛行機のチケットもホテルの予約もまだ。そこでパスポートだけはあせって申請。今は5日間で取れるのですが、年末最終日に交付を受ける突然ぶりでした。

ATA」(Archery Trade Association)は、アメリカでアーチェリー、ボウハンティングにおけるすべてを統括する組織です。そこには野生生物の保護やアーチェリー施設の建設、普及や安全のためのプログラム作成や実施など、アーチェリーに関するさまざますべての活動が含まれています。我々がよく耳にする「全米ライフル協会」のアーチェリー版のような組織です。
組織自体は1950年代くらいまでさかのぼるようですが、我々が知るのは「ATA」の前身となった「AMO」の存在です。1953年に設立されたこのアーチェリーメーカーを対象とした団体は、1994年に「ATA」へと改変され現在に至っています。そして「ATA Show」は1997年から始まり、アメリカで毎年行われるアーチェリーの商品、商売に関する世界最大の展示会です。

この年はインディアナ州都、インディアナポリスのダウンタウンにあるコンベンションセンターで、1月8日から10日に行われました。展示会は580を超えるメーカーの展示ブースと70のシューティングレーン、そして30の講演会や講習会が3日間にわたって行われました。来場するのは基本的にはディーラーやショップ、レンジの経営者や施設の運営者で、そこでの販売はありません。

商談用のテーブルがこの数で、いっぱいになります。

インディアナポリスに到着したのは7日の早朝5時半。マイナス20度という大寒波到来の中、何とかタクシーを捕まえて、20分ほどでマリオットホテルに到着。ホテルはコンベンションセンターの向かいで、会場までは外に出ることなく2階から渡り廊下でつながっていて3分の距離でした。
この日は開催の前日でしたが、チェックは厳重で出店メーカーのIDがないと入れません。とはいえ、これだけ広い会場でブース作りがこのペースで間に合うのかと心配になりました。

昼になってもまだこのペースです。

翌日、展示会初日の開場8時半には600のブースと70の実射レーン、そして商談スペースが見事にオープンしました。そして外はマイナス20度の寒さにもかかわらず、とんでもない数の業界関係者がひっきりなしに到着です。

2005年のクリスマスにお世話になったピート。そしてマッキニーはCarbonTech、カウホールドは以前来日したこともあるLancasterArcheryの社長です。

PSE Pete shepley
                    CarbonTeck Rick Mckinney   Lancaster Robert Kaufhold

このようなアメリカにおけるアーチェリーの縮図を見ていると、日本にいては分からない現実を感じます。
例えば「アーチェリー」と聞くと、我われは今でこそコンパウンドもありですが、それも含めて基本的には、紙に書いた丸い輪を射つアーチェリーを想像します。しかしそれは、世界においては非常に限られたスポーツであることを理解しなければなりません。


ATAが調査した「Archery Participation Among Adult United States Residents in 2014」という、信頼性が高い数字があります。2015年2月と3月に、アーチェリーをする人 5,103人を対象に電話で行った調査です。
アーチェリー参加者は3つのグループに分けています。

米国居住者全体で、2014年にアーチェリーに参加したのは9.2%(推定2,160万人)

これによると、アメリカ人の18歳以上でアーチェリーをしたことがあるか、ボウハンティングを経験したことがある人口は全体の約「9.2%」、「2,162万人」に上るというのです。そして平均年齢47歳以下が「70%」で女性が「22%」です。

ターゲットアーチャー、ボウハンターに共通して人気があるのがコンパウンドボウで、彼らの多くが自宅の裏庭でアーチェリーを楽しんでいるのです。

ボウハンティングの逆の言葉がターゲットアーチェリーですが、このターゲットアーチェリーという言葉には、生きた獲物を射るのではないすべてのアーチェリーが含まれます。たとえば3Dやアニマルターゲットを射つことも、裏庭でコーラの缶を射つことも、バーチャルでスクリーンの獲物を射つことも含まれます。それは我われのように1つのルールに沿って、決められた距離から的に書かれた同じ大きさの輪を同じ本数射つ「競技」と考えると大きな間違いです。
ちなみに日本の人口は約1億2000万人。アーチェリーの競技人口=18歳以下も含めた全ア連登録人口を、多く見積もっても「1万2000人」です。アメリカの「0.001%」で、そのほぼ100%が紙に書いた丸い輪だけを射っています。アメリカでは日本の1000倍以上のアーチェリー人口があり、彼らの多くが滑車の付いた弓で、裏庭や私有地で年に数日あるいは1ヶ月近く、友人や家族とシューティングを楽しんでいるというのです。
彼らはX10もACEも買いません。彼らが使うのは、先に剃刀の刃が付いた、最近はノックがLEDで光る矢です。彼らがそんな矢を1年に1ダース買うマーケットを想像してください。

我々が知っている「競技で使うリカーブボウ」をこの展示会で出展していたのはHOYTとPSEだけでしょうか。HOYTが6本ほどPSEが2本ブースの隅に並べていました。それ以外に韓国のメーカーらしいブースが3店ほどありましたが、世界最大の展示会では誰も見向きもしません。我々の知るアーチェリーは世界の中の「スキマ産業」なのです。

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