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セブンイレブンパーキングスペースナイト(まよなかめがや#13)

人と会えなくなって早いものでもう2ヶ月が経つ。
もしかするとこれから何百年、何千年、何万年と
人々は屋内で人生の9割を過ごすことになるのかもしれない。



むしろそうなりますよ。
そう言われた方が楽だったりするんじゃないか。
ちょっとだけそんなことを思って
ちょっとだけ思考がおかしくなっていることに気づく。


今目の前にあるmac bookと
会社で支給されたDELLのラップトップと
iPadとスマホと家から見える交差点を眺める日常。
寝る前に見る目の前のコンビニの駐車場を補足。



だんだんとものの配置は扱いやすいところで固定化され
1ヶ月半前にはあんなにパンパンに詰まっていた
アトリックスのだいぶエクスペンシブなハンドクリームは
キュッキュッボンっという擬音語が似合うスタイルになっている。


想い描いていた景色とは異なる日常が目の前を流れていて
ふといつからこれが日常になったのだろうと
振り返ってしまう。


特別が普通になるその瞬間の画を
違うことが当たり前になるその瞬間の音を
また見逃して聞き逃してしまった。


日付が変わったら日常になりますよとか
カチッと音がしたら普通になりますからねとか
そういう合図を出して欲しい。
あまりにもスピードが早すぎて
いっつも向こう側にきている。
あー境目に触れたかった。

対岸にはうっすらぼやっとしたシルエットで
これまでの日常とか普通がこっちを向いている。
意外と綺麗な姿勢で。


あんなに欲しかった洋服も
あんなに行きたかったライヴも
あんなに大好きだった彼女のことも
あんなに嫌いだと思っていたタレントのことも
向こう側にきてみると
こちら側にいたときの感情とあまり変わりがない気がする
こちら側はいつもこちら側なのかもしれない。


きっとまたこの日常が
特別に変わるときがきて
また新しい普通に溶けていくときがくる。

そしてきっとまた
ぼくはその境目をキレイに見逃して
大胆に聞き逃すんだろう。


目の前のコンビニの駐車場の広さを
しっかり覚えておきたいなと思った夜である。
だからタイトルにすればきっと忘れないだろう。


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