アザーサイド(超短編小説#30)
おやすみ。
そう口にしたあと、彼女はぼくが聞いたことのない大きめな寝息を立てていた。
いつも「寝息立ててるよ」と言われている側からすると、実体験を伴って初めて相手の気持ちが分かる。そういう瞬間だった。
規則正しく鼻か口から洩れる空気の音。
それを聞きながら、天井を見つめる。
細長い窓に入ってきた外の光が、微妙に合っていないサイズのカーテンの脇から天井に姿を映し出される。
どういう仕組みなんだろ。
もっと物理の授業をしっかり聞いていれば、屈折率とかに興味が持てていれば、こ