振られてとてつもなく死にたいと思ったのに、ぼくはまだこの世界で呼吸している。(超短編小説#21)
振られた。
大好きだった彼女に。
あんなに仲がよかったのに
振られた。
振られた直後のこの世界は
絶望という言葉が似合いすぎるほど
色を失っていた。
忙しいはずの3月も
それより忙しい4月も
絶望のなかでの記憶は
どこかあいまいで
それでいてただただ
ツライだけだった。
でもぼくは今こうして
まだこの世界で
呼吸している。
「呼吸」という言葉を辞書でひくと
『息を吐いたり吸ったりすること』
と書いてある。
全然食欲がなくて
うまく笑えなくて
急に悲しくなって
泣い