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シンデレラのあなたにガラスの靴を履かせたいぼく #超短編小説

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かめがやひろしの超短編小説マガジンです。
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2017年2月の記事一覧

星の流れない空。(超短編小説#10)

ふと空を見上げたときに流れ星を観て それ以来なんとなく夜は空を見上げて帰るのが習慣になった。 けれど、あれからまだ1度も流れ星を観れていない。 あのときはなに流星群だったっけ。 思わぬところで手に入れたものは 意外と尊いもののようだ。 高校生のころ、中学の同級生から女の子を紹介された。 紹介された女の子とは別の高校に通っていたけれど、毎日メールをしていた。 もう顔も名前もはっきり覚えてないけれど 嘘のように毎日メールをしていた。 自分の通っていた高校は海の近くにあって

信号は青く続く。(超短編小説#9)

明るい時間に走るより、夜走る方が好きだ。 それもできるだけ遅めの方がいい。 冷え切った空気と、暗くてキレイな空に包まれながら、自分の足音と口から出る荒い呼吸が、さらに孤独を深めていく。 今日は青信号が多く、差し掛かった横断歩道で 止まることがない。 LINEがなかなか既読にならなかったり、 映画や食事に誘っても断られたり、 誘われてもその日仕事が入っていたり、 お気に入りの下着を身につけていってもホテルに誘われなかったり、 こんなに青信号が続いているのとは裏腹に、 日