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一物二価と値引の是非について / 1インバウンドとして見た日本(2)

久々の連日投稿、Kametaroでございます。
いかがお過ごしでしょうか。昨日、日本へ一時帰国割いた際に目撃したエピソードについて投稿をしましたが、今日はその続編となります。
もしよろしければその記事もご覧ください。

百貨店で値切りまくる外国人観光客と、対応に困る販売員について。販売員は値引ができないのですが、外国人観光客から見ると値引ができない理由がシステムではなく、権限にあるように見えてしまうミスコミュニケーションが発生していました。

百貨店で値引きをする事例と言えば、会員や従業員・株主などへの優待セール、もしくはバーゲン、あるいは食品等のタイムセールや見切りが思いつきます。一般商品を個別の顧客に対して値引するということは、原則ありません。販売する相手によって価格を変える「一物二価」は、苦情の原因の最たるものとして忌避されます。

しかし、ここでふと思いましたが「一物二価」って悪いものなの?普通に世の中で起こっていることじゃない?ということに思い至りましたのでここから考察してみたいと思います。
どうぞお付き合いください。


そもそも「定価」自体が独禁法違反

「定価」と、「小売希望価格」という言葉は聞かれたことがあると思います。
これら二つの言葉を小売店から解釈すると以下の通りになります。

定価: メーカーにより指定された価格。小売店は原則として、定価以外の価格で商品を販売することができない。

小売希望価格: メーカーにより示された、小売価格の目安。小売希望価格にかかわらず、小売店は自由に価格を設定して商品を販売できる。

定価を定め維持させることは、小売店による価格競争を阻害することとなり、独占禁止法の定める『再販売価格維持行為』に該当します。
独占禁止法では、この定価を小売店に守らせようとすることを規制しています。以下、参考までに公正取引委員会の記事を貼っておきます。

で、あるならば同一の小売店が顧客を選んで価格を変更する行為は、禁止されているわけではありません。実際に家電量販店で値引き交渉をするなどは一般的にみられる光景です。

価格決定権は売り手の大きな強み

貨幣という、客観的数字と財・サービスを交換することが買い物です。いくらなら売る・いくらなら売らない、と決めることは売り手の大きな強みです。オークションなど価格決定の手法は多くあります。

店頭販売について、値引きを行うかどうかは売り手のポリシーにかかっているわけです。
「嫌ならヨソで買ってください」と言えるかどうか。
値引きしてでも、自店で売ることが物凄く大きな苦情に繋がるのかどうか?その値引額の妥当性は、誰がどう判断するのか?このあたりを、営業パーソンである販売員が決定でき、歩合で給与が発生するのなら店頭での値引きも一般的になるように感じます。

値引かなければ売れないなら、それが問題

しかし個人的には店頭価格からの値引は、商品価値や価格への信頼性を毀損する行為に他ならないと思っています。

同時に個別に値引交渉をしていること自体が、商慣習として健全なのだろうか?という疑問があります。

値引かなければ売れないのなら、そもそも商品価値が価格に見合っていないということです。

一物二価に話を戻すと、全ての顧客が公平に取り扱われているかというと、そうではありません。一物二価自体は今後もあり続けるでしょうが、取り扱う商品がコモディティでないこと、高付加価値であること、価格と価値が見合っていることを重視して商売をしていれば、この現象は減っていくのではないでしょうか。

私がこの販売員なら、やはり丁重にお引き取り頂くなぁ・・と再度思いました。売り手も買い手を選んで商売しなければ疲弊してしまいますよね。
今日もお付き合いいただき、ありがとうございました!

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