呼吸~モーリス ブルグ
先日日本で開催されていたオーボエ国際コンクールで前回(2018年)まで審査委員長を務めていたブルグの訃報が、フランスから届いた。
今月6日、83歳だったそうだ。
サン=サンースのオーボエソナタのCDを探していて、たどりついたのがブルグの録音だった。
YouTubeでは、ブルグと野平さんの素晴らしいサン=サーンスの演奏が聴ける。
こんな音楽をホールで聴けたら、どんなに幸せだろう。
ブルグのこんなコメントを読んだ。
「オーボエ奏者に限らず、ピアニストもヴァイオリストも呼吸法を学んで欲しいと思います。
からだが自然に呼吸し、正しい姿勢を保ち、それを音楽に生かす。
すべての音楽は、自然で自由で繊細かつ正確な呼吸法から生まれます。
管楽器奏者だけではないんですよ。」
歌う、唄う、唱う、詠う、謡う。
「うたう」という言葉だけでも、こんなにも種類がある。
ヴァイオリンで「うたう事や呼吸」について初めて意識したのは、10歳の頃。
しかし、正直言葉としては理解できても、そこから先は全く理解できなかった。
自分の中でしっくりきて少しずつ理解し始めたのは、高校生になってから。
どう演奏したらよいか分からなくなった時や迷った時は、楽器を置いて納得がいくまでうたう。
何回も。何回も。
そのようにうたう事で、フレーズや音の強弱、拍感、弓の動かし方などが自分の中ではっきりしてくる。
ウィーンで習っていたアレンコフ先生も、レッスンでうたう先生だった。
歌うように、呼吸するように音を繋いで音楽にしていきたい。
そう思いながら、ヴァイオリンと向き合ってきた。
これからも、そうありたい。