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小澤征爾さん

先日届いた訃報。
東京でのジョン=ウィリアムズのコンサートでの舞台上の姿から体調が思わしくない事は想像していたが、残念に思う。

そこに居るだけで、オーケストラの音をガラッと変えてしまう指揮者がいる。
いつものメンバーで特別な事をしている訳でもないのに、何故か出てくる音が全く違うのだ。
何がどう違うのか、上手く説明出来ないのだが.…
小澤征爾さんも、そのような1人であったと思う。

高校生の時、指導してもらったのが最初だった。
先生方から「キャーキャー言わない!」「サインもらわない!」と事前にお達しがあり、どんな時間になるのだろうかとドキドキしながら皆でその時を待っていた。
高校生だからまだまだ未熟で粗削りだったけれど、そこにいた同級生は何かを吸収しようと3時間出来るだけの事は精一杯したと思う。
その後、松本でもまた演奏する機会を得た。
学生相手でも手を抜かず、100%の力でぶつかってくる。
気迫と目力の強さ。
だからこそ、得られる事は全て吸収したいと思った。

ウィーンに住んでいる時は、何度も小澤征爾さんの指揮でウィーンフィルやオペラ座を聴く機会があった。
学生にとって、立ち見席は約500円~1000円程度で聴ける有り難い席だ。
小澤征爾さんの指揮の時は、指揮科の生徒が立ち見席にいる比率が高かった気がする。
しかし、一番記憶に強く残っているコンサートは、ウィーンフィルやオペラ座ではなくサイトウキネンオーケストラの初ヨーロッパ公演だった。
オーケストラの演奏者も凄いメンバーばかり。
その上一人一人がオケ弾きでなく物凄い集中力で演奏したのだがら、最初の音からして出てくる音楽が別格だった。
松本で聴いていたのともまた違う気迫が、そこにはあったと思う。

その当時も多くの日本人が世界で活躍していたが、本当のトップ中のトップは3人とある人に言われた。
ピアノの内田光子さん、ヴァイオリンの五島みどりさん、指揮の小澤征爾さん。
その頃から約25年過ぎた。
今はもっと多くの日本人が活躍しているが、小澤征爾さんのような人はなかなか出てこない気がする。

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