第二章 ○茄子の切り漬け
これに使用する茄子は、なるべく皮の軟らかい、色艶の良いものを選んで下さい。大きな茄子は不適当なので、なるべく小さいのがよいでしょう。
小さな茄子 五十個
塩 茄子の十分の一
焼き明礬 少量
例によって茄子の蔕を切り取り水洗いします。そのまま笊に上げ、暫く水気を切り置きます。水気を切ったら縦二つに切ります。又それを横に置き換えて、木口から五ミリほどの厚さに切ります。
全部切り終わったら桶か樽の中に入れ、その量の十分の一ほどの塩を振り掛け、両手でよく揉みながら、粉末にした焼き明礬を振り掛け又掻き回します。充分混ざったら圧し蓋をして重い重石を載せ、そのまま日光の当たらない所に置き、程良く水が上がれば、食べる分量だけ取りだし桶の外で水気を切り、皿か丼にとり、醤油を掛けて食べます。色艶風味とも結構なものです。しかしこれは日持ちのしない当座漬けですから、少しづつ漬けた方がよろしいでしょう。