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ドイツ語の吹き替え

オーストリアのテレビは、あまり面白くない・・・
と私は思う。
そもそも国営放送2局しかない。総合テレビとEテレみたいなかんじである。
しかも時間帯によっては、その2つで同じ番組を放送していたりする。

朝は、牛が草を食む牧場などの風景に、文字で天気予報とピックアップニュースが表示されるだけだったりする。
夜もさして面白くない。

夕食後、散歩やコンサートなど娯楽に出掛けたり、カフェでおしゃべりしたりくつろいだりする人が多い。
そういう文化が生まれるのも当然だと思った。

ケーブルテレビはたくさんある。でもそれはドイツ製作のもの。
そして、契約していない家は見れないのである。

私の住んでいたシェアハウスでは、ドイツの放送局のものが見れた。

でもケーブルテレビ自体もさほど面白くない。
日本のテレビって、バラエティ、ドラマ、クイズ、教養、など多岐にわたって工夫されているなと感心する。

そんな、あまり見るものがないなぁと思う中、結構ハマっていたのが、日本のアニメである。

アタックNo.1は、ずっと見ていた。
幼少期見ていた懐かしい映像。

タイトルはアタックNo.1ではなくMILAである。

主人公の鮎原こずえは、こずえという響きが、
ドイツ語圏の人には名前と認識しにくいし、
子供も発音しにくい。
なのでMILAと名前が変えられている。
それがそのままタイトルなのだ。

主題歌も知っている人がでいるであろう。

「苦しくったってー悲しくったってー」

短調で、暗く悲しいメロディーである。
そういうのは子供の見るアニメにふさわしくない。
なので、主題歌は完全に変えられている。
明るい長調のメロディーで、歌詞も明るい。
はっきり覚えていないが、

「ミラ あなたならできる!フジヤマに向かって♪ ラララララン♪」

みたいにご陽気な感じだ。

物語の内容は、たぶん日本で見たのと同じだと思うが、実はこちらでは理解しがたいものがある。

そもそも学校の放課後に部活はない。

なぜ、放課後ににやるレクレーションで、コートで倒れている主人公に向かって、コーチが次から次へとボールを投げつけるのか?

子供はハートウォーミングなものを好むので、こういうスポ魂ものや、フランダースの犬のように、悲しくなるものはウケないという。
ということを、在ウィーンの日本人から聞いた。
見ているのは、日本人か、日本びいきの人だけかもしれない。

そして、もう一つの問題。

ドイツ語は長い単語が多い。

「富士見中バレー部」

というだけのものが、

Fujimi Gymnasium Volleyball Gesellmannschaft

カタカナで表記するのは正確な発音ではなくなるが、
フジミ ギムナージウム バリバル ゲゼルマンシャフト

こんな具合なので、アニメの口の動きの長さと合わず、すべてのやり取りが、ものすごい早口なのだ。

「ドイツ語って単語長いよね」
と同居のオーストリア人に言った。
「そうかなぁ?あーそうかもねー」

ある時、日本の時代劇をやっていた。
下にドイツ語の字幕がついていて、その同居人と一緒に見た。

お殿様とお姫様の場面

殿「よきにはからえ」

「恐れ入り奉ります」

なんとこの、「恐れ入り奉ります」の字幕は

Danke(ダンケ)=ありがとう

という短い単語であった。

「日本のダンケ(ありがとう)って長ーい!」


おそれいりたてまつります⇒ありがとう
古語⇒現代語

日本人の私も気付かなかった。

てか、それ今言わないし~!




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