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【アントラーズ定点観測】#10 苦しめた選手層の薄さ。まさかのアウェイ4連敗

水曜日のツケが回ってきた。長距離移動の中2日で挑んだ鳥栖戦は、選手層の薄さ(戦力の底上げ不足)を嘆き、補強の必要性を再認識させられることになった。

試合結果

サガン鳥栖 4 - 2 鹿島アントラーズ

【得点】
〈鳥栖〉
30' 河原(←手塚)、45'+3 マルセロ ヒアン(←手塚)
80' マルセロ ヒアン(←横山)、88' 福田(←マルセロ ヒアン)
〈鹿島〉
11' 濃野(←チャヴリッチ)、86' 鈴木

【警告】
〈鳥栖〉
マルセロ ヒアン、長澤
〈鹿島〉
なし

スタメン

サガン鳥栖は開幕から1勝1分6敗と苦戦を強いられ最下位に位置。第2節札幌戦以降1ヶ月半勝利から見放されている。
一方の鹿島アントラーズはリーグ戦のアウェイは3連敗中。水曜日に青森で行われた天皇杯のヴァンラーレ八戸戦から中2日。主力メンバーに休養を与えたかったはずだが、120分間の戦いとなり結果的にほとんど休ませることができないまま鳥栖に乗り込むことになった。

幸先よく先制するが

強行日程ではあるものの、ランコ・ポポヴィッチ監督が試合前に話したとおり「自分たちのやることは何も変わらない」。守備時には鈴木優磨が前線で2度追い3度追いでプレスをかけ、後ろの選手も連動してハメにいっている。攻撃時には、藤井智也とアレクサンダル・チャヴリッチの両サイドアタッカーのスピードを活かしながら敵陣ペナルティエリアへの侵入を狙う。

鹿島は先手を取った。コーナーキックからの流れで一度GK早川友基までボールを下げるが、早川からフリーとなっていた右サイドの濃野公人へ正確なボールが渡る。鳥栖は守備陣形が整っておらず、すべてにおいてワンテンポ遅れをとった。ボールサイドが鹿島から見て左から右へと移り両ボランチのスライドが遅れ、ボランチ脇に広大なスペースが発生。知念慶はそこに構えたことで、濃野から前向きな状態でボールを受けることができた。さらに濃野に対して丸橋祐介がプレッシャーをかけに行ったことでサイドにもスペースが生まれた。鈴木がそこに流れたことで左CBキム・テヒョンもついていく。CB間にできたギャップにはチャヴリッチが入っていく。
最終的に鈴木からチャヴリッチにクロス。チャヴリッチがトラップして後ろに落としたところへ入ってきたのはまたも濃野だった。パワーシュートはGK朴一圭の手を弾き、ゴールへと吸い込まれた。
しかし、長距離移動で中2日の戦いの鹿島の選手たちの動きや反応は芳しくない。鳥栖にボールを持たれ、セカンドボールも回収できず自分たちの時間を作ることができない。早川友基のPKストップを含むファインセーブで耐えていたものの、30分にアンラッキーな形でついに失点。手塚康平の左足ミドルシュートは河原創にあたってコースが変化した。自陣深い位置に押し込まれ相手からのクロスをカットしたものの、知念が持ち運んでいる途中ですぐに鳥栖の選手が囲んでボールを奪い返したところからだった。明らかに知念は出しどころに迷っており、周囲の受けるリアクションが皆無だった。
1失点目を喫した後、鳥栖が少しペースダウンしたこともあり、鹿島がボールを持ちながら藤井とチャヴリッチを中心にサイドから敵陣に押し込む時間が増えた。だが、前半のアディショナルタイムに追加点を決めたのは鳥栖だった。右からのコーナーキック、再び手塚の左足から放たれたボールは、ファーサイドで頭一つ飛び出していたマルセロ・ヒアンにピタリと合った。ゾーンとマークを併用する鹿島守備陣だったが、知念のマークを振り切ったマルセロ・ヒアンが、関川郁万の背後を取って生まれたゴールだった。鹿島はビハインドを抱えて後半へ入ることとなってしまった。

うまくゲームをコントロールした鳥栖

鹿島は後半から樋口雄太に代えて師岡柊生を投入。チャヴリッチを最前線にあげて鈴木との明確な2トップにしてきた。試合の構図はどちらかといえば鹿島がボールを保持しながら前進し、鳥栖はミドルゾーンでボールを奪ってからカウンターを仕掛けるようになった。さらに71分にミロサヴリェヴィッチ、名古新太郎を投入し新陳代謝を測るが、鳥栖ゴールを脅かすまでには至らない。停滞感漂うなか迎えた80分、鳥栖がリードを再び広げることになった。丸橋に代わって投入された横山歩夢がドリブルで突破。ポケットをとってマイナスのクロスにマルセロ・ヒアンが左足で合わせた。
その直後、藤井がドリブルで仕掛けてファウルをもらってからのセットプレーの一連の流れにおいて鳥栖のハンドがOFRにより認められ、鹿島はPKを獲得。鈴木が落ち着いて決めて再び1点差に迫った。しかしそれも束の間、スローインで佐野海舟がマルセロ・ヒアンに入れ替わられてポケットを取られた折り返しを、途中交代で入った福田晃斗に決められて万事休す。最下位相手に不覚をとってしまった。

後半になっても効果的に敵陣へと運びフィニッシュまで持って行った鳥栖。マルセロ・ヒアンのキープ力と推進力は鹿島を苦しめたのは事実だったが、この試合における守備への切り替えとアクションは明らかに鳥栖が鹿島を上回った。中2日、青森から佐賀までの移動という面は考慮すべきだが、ターンオーバーを使えないチームの現状を憂いてしまう。前向きな要素は、名古がケガから復帰したこと、師岡が躍動しているというこの2つくらいだろう。次週も大阪でのアウェイゲームとなるが、これ以上アウェイでの敗戦は避けたいところだ。王座奪還へ、鹿島は正念場を迎えている。

text by 亀石 弥都
photo by 鹿島アントラーズ公式X

ハイライト

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