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【KAMEの蹴球三昧】#35 22-23 英プレミアリーグ第20節 マンチェスターU対マンチェスターC マッチプレビュー

W杯の激闘からまもなく1ヶ月。欧州主要各国では激闘の興奮冷めやらぬなかリーグ戦が再開され、並行してカップ戦も行われている。中でもイングランドは真っ先に再開。ビッグマッチが目白押しの1月がやってきた。今週末は2つのダービーが行われる予定となっているが、そのうちのひとつ「マンチェスターダービー」を占う。

マンチェスターU

昨年10月2日にシティのホームで行われたダービーでは、アーリング・ハーランドとフィル・フォーデンの22歳コンビにハットトリックを許し敗戦。前半だけで4失点を喫し、ペップ・グアルディオラが7シーズンかけて創り上げたチームとエリック・テン・ハフが3ヶ月で創り上げたチームには埋めようにも埋められない差がある現実を突きつけられた。ただそこから公式戦18戦を戦って15勝2分1敗と非常に好調で、リーグ戦だけを見ても7勝2分1敗。首位を走るアーセナルと遜色ない戦績を残している(アーセナルは9戦で7勝2分)。そして公式戦目下8連勝でこのダービーを迎える。W杯後にいたっては6試合で15得点1失点。カップ戦で格下の対戦相手が多いとはいっても見事であり、チームにとって自信につながるのは間違いない。

©️Manchester United Official Twitter

リサンドロ・マルティネス、クリスティアン・エリクセン、カゼミーロ、アントニー・マテウス。今季加入したこの4選手はチームに欠かせない存在だ。"リチャ"はセンターバックとしてかなり小柄ながらも、戦術理解度の高さと強いキャプテンシーを持ったディフェンスリーダーだ。新たな相棒が来たことでラファエル・ヴァランは本来のパフォーマンスを取り戻したようにも見える。3列目でコンビを組むエリクセンとカゼミーロは、ユナイテッドの攻守のレベルを格段に上げた。前者はキックの質だけでなく、ポジショニングでも味方を助けることができる。ブルーノ・フェルナンデスもエリクセン加入でチャンスをより創出しやすくなった。カゼミーロはマドリー時代同様相手のチャンスの芽を摘み取る。それだけでなくプレス回避のパスや、相手の背後を狙った鋭い縦パスを供給する攻撃の起点としても活躍している。アントニーはドリブルでの仕掛け、カットインからの強烈なシュートも魅力ながら、守備を怠らない勤勉さもウリだ。

そして何よりも10番の絶好調ぶりを語らないわけにはいかない。ホームで8戦連発はウェイン・ルーニーを超える大記録だ。GKとの1対1になれば、今マーカス・ラッシュフォードという男を止めるものはいない。アントニー・マルシャルも9番として再び評価を取り戻した。何よりシティ戦と相性が良い。ディオゴ・ダロトの影に隠れ放出候補に挙がっていたアーロン・ワン=ビサカもここにきて評価を覆し始めた。

この試合に勝てばライバルとのポイント差は1になる。チーム全体に高揚感が漂う中、復権に向けた試金石となる戦いにユナイテッドは挑んでいく。

マンチェスターC

直近のカラバオ杯準々決勝サウサンプトン戦はリーグ最下位を相手に不覚をとり0-2の敗戦。枠内シュートもゼロに終わり気持ち良くダービーを迎えることはできなかった。リーグ、FA杯とチェルシー2連戦をしっかり勝ち切った後、このダービーに向けて主力を休ませることが最優先だったに違いない。しかし得ようとした結果はペップ・グアルディオラの期待したものではなかったはずだ。セインツの選手たちの鋭い寄せと迫力、ホームサポーターの歓声にシティの選手たちは飲み込まれた前半で、最終ラインのベストメンバーは明確なものになったのではないか。カイル・ウォーカーのCB起用はリスクであり、ジョアン・カンセロはペップが「フィリップ・ラームの再来」と評した18歳のリコ・ルイスをなぜ重用するか示す出来だった。よもやの敗戦を喫したからこそこのダービーは再び彼らを奮い立たせるだろう。

ペップは昨夏に特大のギフトを手に入れた。それはアーリング・ハーランドという、強く、速く、しなやかなストライカーだ。セルヒオ・クン・アグエロが一昨夏に去り純粋なゴールゲッターが不在となっても、ベルナルド・シウバ、フィル・フォーデンを偽9番として起用することで大きな問題を抱えることはなかった。しかし、純粋なストライカーがいれば…と思う試合があったことは否めなかった。悲願のCL制覇に向けてハーランドは最高のラストピースだった。そして彼はここまで期待以上の活躍を見せてきた。公式戦23試合で27ゴール3アシスト(リーグ戦は16試合21ゴール3アシスト)。おまけに3度もハットトリックを決めてきたわけだが、最後のハットトリックはマンチェスターダービーだ。今回も夢の劇場を、悪夢のハーランド劇場へと変えてしまうのだろうか。

©️Manchester City Official Twitter

そのハーランドのゴールにはケビン・デ・ブライネの存在が欠かせない。キック一つでチャンスを創り続ける17番の視野の広さには驚嘆だ。ハーランドにとってもデ・ブライネにとっても互いにベスト・パートナーであるに違いない。またリヤド・マフレズがここに来て好調なのも非常に心強いだろう。W杯中断再開以降5試合4ゴールはハーランドと同じ。カットインからの強烈な左足、フリーキックとユナイテッドの脅威になるに違いない。

シティにとってはリーグ首位を走るアーセナルを追うためにも勝ち点3は必須。逆に敗戦はユナイテッドにさらに勢いを与えかねない。まさにこの試合はリーグ中盤戦の山場、6ポインターマッチだ。

予想スタメン

マンチェスターU
GK 1 ダビド・デ・ヘア
DF 29アーロン・ワン=ビサカ
DF 19ラファエル・ヴァラン
DF 6 リサンドロ・マルティネス
DF 23ルーク・ショー
MF 18カゼミーロ
MF 14クリスティアン・エリクセン
MF 8 ブルーノ・フェルナンデス
FW 21アントニー・マテウス
FW 9 アントニー・マルシャル
FW 10マーカス・ラッシュフォード

マンチェスターC
GK 31エデルソン・モラエス
DF 2 カイル・ウォーカー
DF 25マヌエル・アカンジ
DF 14アイメリック・ラポルト
DF 6 ナタン・アケ
MF 16ロドリ
MF 20ベルナルド・シウバ
MF 17ケビン・デ・ブライネ
FW 26リヤド・マフレズ
FW 9 アーリング・ハーランド
FW 47フィル・フォーデン

試合の見どころ

❶ペップが会見で話した「奇策」は一体!?

©️Manchester City Official Twitter

試合前から監督同士の駆け引きが始まっているわけだが、ペップは会見で奇策を用意していると発言。私さテン・ハフを悩ますための揺動作戦で実際にはいつも通りの戦い方になるのではと予想している。ペップは大一番で戦い方を変えることがよくあるものの、上手くいかなかったケースが多い。なおかつ例えば3バックが奇策だと仮定するなら、ベースフォーメーションが4-3-3でも、攻撃時には3-2-2-3になっており、3バックが奇策に該当するのかも怪しい。もし奇策というものがあれば、自陣引きこもりベタ引きの5バックだろうか。ペップの思想に全く合わないやり方は奇策といえるだろう。したがっていつも通りのシティで挑んでくると予想される。

❷ラッシュフォードのホーム9戦連発はあるか!?

©️Premier League Official Twitter

絶好調ラッシュフォードはW杯中断再開以降6戦7ゴール。マルシャルを中央で起用する場合は左ウインガーになるが、対峙するのは1対1に強いウォーカーだろう。しかしここ数試合ウォーカーの調子はあまり良さそうに見えない。CBで起用されているからなのかもしれないが、簡単に自分の前に入られてしまっているシーンが目立っていた。自信を取り戻したユナイテッドのエースに、いかにエデルソンとの1対1の場面を多く創ることができるか。マルシャルがポストプレーで時間を作り、ブルーノ、エリクセン、カゼミーロが鋭く速く精度の高いパスを供給できればゴールは十分に期待できるだろう。

❸中盤の攻防、カギとなるのはカゼミーロ!?

©️Premier League Official Twitter

前回対戦との変化の一つは、ユナイテッドの中盤にカゼミーロがいるということだ。シーズン前半はマクトミネイとエリクセンのコンビで挑むことが多かったものの、カゼミーロがコンディションを上げプレミアリーグにフィットすると次第にカゼミーロとエリクセンのコンビに。カゼミーロは危機察知能力が高く、ゴール前のクロス対応のポジショニングが抜群で、相手に鋭く強く向かって守備ができる。一方でシティが狙うポイントは、カゼミーロに強くプレッシャーをかけることだ。プレス耐性が決して高いとは言えないので、強くカゼミーロに向かえばボールを失ってくれるかもしれない。ただ、味方にスペースと時間を創ることができるエリクセンとブルーノの存在を忘れてはいけない。カゼミーロ-エリクセン-ブルーノ。ロドリ-ベルナルド-デ・ブライネ。世界最高峰の中盤の攻防は必見だ。

試合情報

22-23 English Premier League 

MatchDay 20
Manchester United Vs. Manchester City

Date :2023/1/14
Time :12:30(Local)
Place:Old Trafford
Refree:Stuart Attwell

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