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【F1】コラム:もう誰も止められない。進撃のマックス、タイトルM48に〈第16戦イタリアGP〉

イタリアGP100周年の記念レースでティフォシたちが期待したのは、シャルル・ルクレール(フェラーリ)がマックス・フェルスタッペン(レッドブル)に一矢を報い、3年ぶりの歓喜をもたらすことだったと思います。しかし、今のフェルスタッペンは誰も止めることができません。今回のレースも圧勝でした。

スパに続きモンツァでも新しく規定の年間基数を超過してPUを入れるドライバーが大量発生しました。トップ3チームではルクレールとジョージ・ラッセル(メルセデスAMG)を除く4人が交換しましたね。
予選ではPU交換をしないルクレールが見事なアタックを見せて今季8回目のポールポジションを獲得しました。フェルスタッペンは2位で、決勝は7番グリッドからとなりました。フェルスタッペンにとっての懸念はスタート後の混乱に巻き込まれることでした。モンツァの1コーナーは非常に狭くタイトなのでスタート直後に混乱が起きやすく、今回はニック・デ・フリース、ニコラス・ラティフィのウィリアムズ勢、ジョウ・グァンユー(アルファロメオ)といった若手が周りにいたことも心配のタネでした。ただ、今年のフェルスタッペンは大量リードもあって無理はしませんし、本当に周りがよく見えていますよね。

5周目にラッセルを交わして2位へ浮上すれば、あとはルクレールとのマッチレースになりました。金曜日からフェルスタッペンはフェラーリ勢よりも明らかに速いレースペースがあることは明白でした。ダウンフォースをつけ気味にしたことでタイヤのデグラデーションが少なかったですね。セバスチャン・ベッテル(アストンマーティン)のストップによるVSCでフェラーリはルクレールをピットに呼び戻し、攻めの2ストップ作戦を採りました。正確に言うと、採らざるを得なかったのですが、フェラーリは純粋な1ストップ作戦ではフェルスタッペンに対抗することは難しいと分かっていました。事実、ルクレールは2回目のピットを終えてからフェルスタッペンを追い上げようとしますが、差はなかなか縮まりませんでした。結局フェルスタッペン&レッドブルは誰にも脅かされることなく3連戦を締め、いよいよチャンピオン獲得に向けて残り48ポイントです。3年ぶりの鈴鹿がタイトル獲得レースになるのが濃厚です。

そしてこのレースを語るのに外せないドライバーがニック・デ・フリースです。アレクサンダー・アルボンが虫垂炎となり土曜日から急遽ステアリングを握りましたが、いきなりラティフィを上回ってQ2進出を達成しました。金曜日にアストンマーティンで走っていたことも幸運だったと思いますが、レギュラードライバーを上回るのはさすがFormula 2とFormula Eでチャンピオンを獲得したドライバーです。決勝でも堂々とした戦いで9位入賞、シートの決まっていないチームは彼を欲しているでしょうね。彼のような才能溢れたドライバーがシートを得ていないことがあまりにも残念ですが、来季どこかのチームで彼が走っていることを切に願っています。

text by 亀石弥都
photo by Formula 1 Official Twitter

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