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無理のない介護で、最高の親孝行を。

「もし今、介護がはじまったら。準備はできていますか?」

年末年始、ご実家でゆっくり過ごされた方も多かったのではないでしょうか。
久々に会う親御さんの様子は、みなさんの想像どおりでしたか?

「思ったより元気そうだった」という方もいれば、

「薬の量が増えている」
「以前よりも口数が減ったような気がする」
「手作りのおせちが、今年は市販のものに変わっていた」

など、少なからず「老い」を感じた方もいらっしゃると思います。

介護は急にやってきます。だからこそ事前に備えておくことが大切。
老いを感じたのであれば、今こそ、です。
親と、家族と話し合っておく。望む介護や使えるサービスを調べておきましょう。

さて、2023年のはじまりにいい予感を感じさせてくれる嬉しいニュースが一つ届きました。2023年1発目となる受賞ニュースです。

イー・ウーマン・オブ・ザ・イヤー2022 円卓会議 議長部門を受賞しました。「イー・ウーマン」は2000年から20年以上にわたり働く女性の声を発信する活動を行っています。

このたび錚々たる顔ぶれの23名の1人に選んでいただけたこと、とても光栄に思うとともに、介護を取り巻く課題の深刻さ、関心の高まりを感じています。

私は「仕事しながらの介護」をテーマに、円卓会議の場を持ちました。キャリアと家族関係のバランスを考えたいという課題感をお持ちの皆さまとの意見交換が受賞に繋がったと感じています。この度は誠に有難うございました。

そして皆さんとの対話の中で、参加者から寄せられた投稿に気になるものがありました。

「フルタイムで仕事をしておりますが、いずれ母も介護が必要になった時、施設のお世話にならざるをえません。でもそれが本人にとっていいのか、納得できるのか、私が楽しようとしてるだけではないかと罪悪感が消えません。かと言って自宅での介護は到底できそうにありません。今も正解は何か、わからずにいます…」

「義母の介護に直面していたのは5年前。祖母の時に親族間の介護の押し付け合いを見ていた私たちは、介護付き有料ホームでの介護を選択しました。これは義母の貯金あってのことで、自分たちが同じ状況になったときにできるかどうかわかりません。嫁の私は親族からボロクソ言われましたが、プロにお願いしたおかげで家族には愛情が残りました。本当に感謝しています」

介護は家族がするものーーという周囲の考えや思い込みに苦しんでいる。私自身、20代で経験した親族の介護が辛くて辛くて、同じ状況に苦しむ人の助けになればと8年前に起業しました。まだまだ、介護は家族がするものという幻想にとらわれている。

そんな幻想から目を覚まして、介護のあり方を変えていく、新しく作っていく。
大変だけど、決して無理な話じゃない。
だって、介護という言葉が頻繁に使われるようになったのは、たったの50年前なんですから。

「介護」という言葉は
広く使われはじめて、たった50年。

そもそも、介護は「家族がするもの」って本当でしょうか?

実は「介護」という言葉が広く使われるようになったのは、たかだかこの50年。それまでは平均寿命は今よりずっと短く、1970年代後半になってから「介護」という言葉は世の中に現れ始めました。親の介護に直面しはじめる40代後半〜50代前半くらいの方々と介護という言葉は、まさに同級生。太古の昔(笑)からあるわけじゃないんです。

ですが、介護を支える公的保険サービスは「家族の支援」ありきで設計されているのは事実です。ヘルパーさんすべてを手伝ってくれるのではなく、通院では診察室まで付き添ってもらえなかったり、急な体調不良の看病をしてもらえなかったり「ここからは家族がお願いしますね」という制約があります。

親御さん世代(70−80代)の頃、「男は仕事、女は家庭」の昭和の考え・家族形態であればなんとかなっていたかもしれません。(介護の苦労を思えば、介護を妻に押し付ける考えに思うところはたくさんありますが)

今はどうでしょうか。共働き世帯が中心となり、晩産化と言われる今、子育て、親の介護、そして自身の更年期症状などトリプルケアが求められる時期でもあります。加えて急速に進展する少子化(出生数80万人割れとニュースになっていますね)になった今、家族だけに頼る介護に限界があることは想像に難くないです。

にもかかわらず、冒頭のコメントのような「親や家族の介護を外部に任せるのは、楽をしているんじゃないか」「まわりからボロクソに言われる」のはとても悲しく辛いものです。

介護の考え方、老いる家族との向き合い方ーーを見つめ直すときなのかもしれません。

介護との向き合い方を作り変える

子育てに目を向けてみると、保育はどうでしょうか。

少し前は保育園へ預けるというと「可愛そう」や「育児放棄」という言葉を向けられましたが(今もまだ、そのような発言を見聞きしますが...)、10年前は1・2歳児の3人に1人が保育園を利用していたのに対し、直近は2人に1人にまで急伸しています。

(出典:厚生労働省 保育所等関連状況取りまとめ(令和4年4月1日))

欧米の文化だと思っていたベビーシッターは、都市部を中心に普及していて、助成する自治体もあるほど。「子どもを社会全体で育てよう」という文化や考えは間違いなく、今を生きる私たちが作り出した変化です。

介護に話を戻すと、「そばにいる・体に触れて介護をすることが親孝行」ではないんです。

介護は家族だけに頼る・抱えるでは、親子関係もきょうだい関係も無理がきてしまいます。

今、離れて暮らす親を見守るロボットや電話一つで認知症疑いを診断できるサービスなど大手企業やベンチャーが続々と介護領域に参入し、介護を支える製品・サービスは数多く生まれています。だからこそ、ヘルパーさんや介護を支えるサービスを使いこなすこと、事前に親子間で介護に関する話し合いをしておくことが大切です。

無理のない介護で、最高の親孝行をしてほしい。
願ってスタートした「わたしの看護師さん」は、今年9年目を迎えます。

この度の受賞や皆さまから受け取った投稿を糧に、今年1年も邁進してまいります。

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