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NEW EDUCATION EXPO2024参加記(1)

NEW EDUCATION EXPOという大きなイベント、大学の非常勤講師という立場ながら毎年のように参加させていただいており、参加するたびに新たな発見や学びがあります。
今年も参加しましたので参加記をのこします。

1)世界人類に貢献する人材を育てる大学/早稲田大学総長 田中愛治氏


早稲田大学は2032年に創立150周年を迎えるそうで、それに向けたWasedaビジョンについてのご講演でした。
https://www.waseda.jp/top/news/100553

上のサイトに詳しいのですが「研究の早稲田」「教育の早稲田」「貢献の早稲田」の3つの使命を果たすための具体的なアクション(各グローバルセンターの創設とプロジェクトについて等)について、幅広い説明があり、スケールの大きさを感じました。

「かつては答えのある問題を解ける学生が優秀と思われたが、今は答えがない時代」ということで、フィールドワーク参加などによる実践知を重視しているとのこと。「学生が地域でフィールドワークに参加したとき劇的な意識変化が起こる」との言葉が印象に残ります。
自分の専門であった保健学も福祉も、かなりガッツリと理論を学びますが、そうした知識は(講義の時はあまり頭に入らなかったのですが)地域実践に基づく経験を得ることによって「あっ、こういうことだったのか」と我が事として立ち上がります。本講演でも「学問は真理の追求のみならず、社会に役立てなさい」というメッセージがありましたが、学びというのは社会との関係を抜きにしてなされない、「貢献」を頭の片隅に置かねばいけない時代なのだと痛感します。

そして、もっともドキっとした言葉は「(一部の学部を除き)日本語以外の言語で研究活動できない人は教員として採用しない」・・・でした。グローバリゼーションの潮流のなか、語学の重要性はわかってはいたもののいまだに英語が苦手な自分に恥じ入りつつ・・・帰りの電車ではワールドニュースなど読んでみたりしました。

2)学生・地域・大学そして学びの幸福な関係~「学修者本位」・「地域との一体化」、どこまで本気ですか?~/共愛学園前橋国際大学 大森昭生氏


こちらは「地方の小規模大学(学長のお言葉より)」が地域に貢献する学生を育てる講演で、赤城山のお写真も素晴らしく、群馬県への愛があふれていました。

少子化もあり、定員割れの大学が53%となったそうで、地方の大学ほど大変とのこと。自分の勤務校も含め、どの大学も、良い学生さんを集めようと必死です。

「地域の未来は私がつくる」というキャッチフレーズのもと、海外留学に力を入れるなどグローバルな教育を行いつつ、「世界に羽ばたくグローバル人材の育成をビジョンとしているわけではない」「飛び立たない(地域に貢献するための)グローバル」とのことで、我が国にいながらも国際化が必要な理由がいくつも浮かぶ昨今、思わず納得でした。

またこちらの大学でも、「地学一体学習」という言葉でフィールドワークを重視しておりました。「キャンパスを離れて自分の将来を描く」といったように、講義のみならずフィールドでの学びから自分の将来像を考えることを重視しているようで、昔は「講義に出て単位を取ること」=「学び」だったことを思えば隔世の感があります。
おもわず、「今の時代の大学生になりたい!」と思ってしまいました。
また、群馬という豊かな地で学ぶことの魅力も伝わってきました。

大学には出来ないこともあるという覚悟が大事、地域に溶け込むためには飲み会が重要、といったTipsも役立ちそうです。


3)シン・対面授業~学習者中心の授業と学習環境デザイン~
/東京理科大学教育支援機構 教職教育センター教授 渡辺雄貴氏 ほか


オンライン授業もすっかり定着しましたが、オンラインが可能である前提のもとで、どのように工夫して講義を行ってゆくか、参考になる講演でした。

オンラインというオプションが生まれたことにより学びの形態が変化したことを改めて実感します。例えばオンデマンド講義では動画が置いてあることが多いと思われますが、対面のライブ講義ではなかなか理解できなかった学生さんが、繰り返し動画を見ることで(聴覚優位な学生さんなら、聴くことで)理解できるようになるかもしれません。

わたし自身、オンラインのみならずオンデマンド講義も行っており、なんとなく違いがあると感じていたのですが、「同期型」「非同期型」という言葉に置き換えてみると確かに学生さんの学習経験としてはかなり異なるのだと気づかされました。形態に応じて伝え方も変えてゆかねばいけない点もありそうで、いろいろ反省する点もありました。

本講演で公開された「学生は自分で選び取りながら様々なツールを使っている」という調査結果に、学生さんたちの試行錯誤や能動性をみる思いでした。そういえば対面授業でもタブレットや電子ペン、スマホやネット利用が当たり前になってきました。(少なくともわたしの講義ではOKにしていますし、何ならわたしも使っています)

大学生においてもひとり一台端末の時代、教室の作りもそれに合わせて変化しなくてはいけないことがわかりました。PCを操作できる広い机、ディスプレイ、コード類、電源、もしかしたら照明も大事で、そしてネットワーク・・・新たな時代の学びには、設備投資も必要ですね。そこまでお金をかけずとも、事務所の模様替えならできるかなと思ったりして・・・。

こうした講演会に参加することで、「まなこがひらく」という経験ができ、ありがたいかぎりです。
今後の事務所活動に活かしてゆきたいと思います。

(つづく)

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