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『明日に向かって撃て』レビュー

バート・バカラックを偲び、50年以上ぶりのマイ・コレクション録画から引っ張り出しての鑑賞。どこかの時点でテレビ放映を観ているかもしれないが初見は中学一年生、2年生になってたかな。当時、主人公2人の名前の原題と邦題との違いに、生意気にも憤っていたりしたのが懐かしい。今観ても素晴らしい仕上がり。多感な頃に出会ったせいもあるのかも知れないが、アメリカからボリビアへの逃避行の写真画像処理、歴史的にも、名高いストップモーションのラストシーン、アメリカンニューシネマの代表作に相応しい内実に、ただただ感心するばかりの、しかもあっという間の2時間だった。B.J.トーマスの「雨にぬれても」が流れるポール・ニューマンとキャサリン・ロスの自転車シーンのなんと愛らしいこと。2人を迎えるロバート・レッドフォードの一番輝いていた時期だったのかな、3人の取り合わせが絶妙で、うっとりする。指名手配され、逃げても逃げても追っ手を振り切れない切迫感は、本作後すぐに登場し、ずっと先頭を走り続けているスピルバーグの『激突』や『ジョーズ』の原型を観るような印象である。ブルース・チャトウィンの『パタゴニア』にも紹介されるButch Cassidy and the Sundance Kidの逸話は、本作により紛れもなくひとつの伝説となっている。個人的に満点評価したドラマシリーズ『The Offer』でも少しく触れられるマックイーンがらみのエピソードも興味深い。ジョージ・ロイ・ヒル監督の名人芸を堪能できる一本である。往年の名作は素晴らしい!

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