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『THE FIRST SLUM DANK』レビュー

江ノ電鎌倉高校前駅を最寄り駅のひとつとする街に住み、連載時は生徒たちと毎週月曜日に興奮を共有し、陵南のモデルとなった鎌倉高校で定年退職を迎え、インバウンドの聖地となったスラムダンク踏切問題の当事者のひとりとなっていた者として、老齢ながら、これは観ないわけにはいかんでしょ、という訳で初日に、ある意味観るにはもっとも相応しい109湘南で鑑賞、しかもIMAX。それで観終わっての第一印象はどうか、となるのだが、うーむ、としか言えない。好き嫌いの大きく分かれる内容を、監督脚本を担当した原作者井上雄彦は、多くのファンに提示したな。と、それが本作に対する評価である。
なぜ、連載時、みんながSLAM DUNKに興奮したか、それを思い返すと、今回、映画化にあたり構築された作品世界は、乖離感,違和感を否めない。今作の中心に据えられた抒情は、真正SLUM DANKファンには不要のものではないだろうか。あの時、メンバーのひとりはこんなドラマを抱えてた、と26年経って言われてもねえ。しかも、その物語たるや、あまりにありきたり過ぎて、日本映画的でなんの驚きもない。映画として面白く興奮させられるのは、やはり、無敵軍団たる山王工業とのゲームそのものだし、そのシーンはスピード感溢れ、展開は分かっていてもワクワクさせられる。
パンフレットで井上雄彦は、連載時20代だったが、『バガボンド』や『リアル』を描いてきたことも影響し、年をとって視野が拡がって自然な流れでこの物語になった、と語っている。個人的には、それならそれは『バガボンド』や『リアル』でお願いします、と返したくなる。全否定するつもりはない。オープニングはスタイリッシュで嬉しいし、劇伴等も聞き応えある。しかし、みんなが、と言うのが言い過ぎなら、ぼくが待っていたものではなかった。いささか、個人的思い入れが過ぎる短評である、との責めは負います。

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