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邦題ゆえにサリンジャーファン見逃しがちの映画『マイニューヨーク・ダイアリー』レビュー
前情報なく配信鑑賞して、内容原題からジョアンナ・ラコフの『マイ・サリンジャー・イヤー』(邦訳 サリンジャーと過ごした日々 井上里訳)と気づき、あわてて原作邦訳を再読して、再鑑賞。
マーガレット・クアリーとシガニー・ウィーバーというキャスティングが秀逸。おそらくその妙ゆえに『プラダを着た悪魔』の系列作品として営業されたのではないかと思われるが(それゆえの邦題だろう)、本筋は、定期的なタイミングで配給されるサリンジャーもの(そういうジャンルがあるのかどうかは知らないが個人的にそう位置付けてます)の超重要作品。原作は、ラコフがサリンジャー未読のままエージェントの事務所に職を得て、ファンレターに翻弄されつつ、全作品を読破し、作家たる自分自身に気づいていく過程が勘所だが、映画では、そのあたりの文学的妙味は割り引いて、人間関係と仕事環境を通してのクアリー扮する主人公の自立が描かれている。映像処理も巧みで、音楽も肩肘張らず心地よい仕上がり。原作の味わいを損なうことのない佳品である。
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