給食を通じて「持続可能な社会」の在り方を学ぶ
教育長の岩岡です。
突然ですが、世界の食料生産が地球温暖化に与える影響は、全体の何%だと思いますか?
これは約25%程度と言われており、自動車・飛行機など全ての交通手段が与える影響の合計よりも高い数字です。一方で、急激な人口増加に伴う食料不足が懸念されるなど、持続可能な社会を実現する上で、「食」は避けて通れないテーマです。
学校で毎日食べる「給食」は、「食」を学ぶ絶好の機会です。
市では、給食を通じて子どもたちに「自分の健康づくり」はもちろん、「持続可能な社会の在り方」を学んでほしいと考え、さまざまな取組を行っています。
例えば、食材輸送の際の環境負荷を減らせる「地産地消」の考え方に基づき、ワカメやサバなどの地場産品を可能な限り給食に取り入れてきました。それに加え、昨年は有機(オーガニック)農産物を取り入れた学校給食を12月8日「有機農業の日」に合わせて実施しました。
有機農産物とは、化学的に合成された肥料や農薬を使用しないなど、農業生産に由来する環境負荷をできる限り低減した「有機JAS」の規格に従って生産された農産物です。
オーガニック給食の日には、有機農業の特長などについて紹介する食育資料を作成し、子どもたちが「食べる」だけに終わらず、給食を通じて「学ぶ」ことができるように工夫しました。
私も中学校のオーガニック給食を食べましたが、食材そのものの風味や食感が強く感じられ、とてもおいしかったです。
さらに、令和5年度からは牛乳のストローを、生分解性(土壌分解性、海洋分解性)のあるバイオマスのものに切り替えていく準備をしています。
しかし、バイオマスストローの生産自体が二酸化炭素を排出するので、さらにカーボンニュートラルに近づけるため、学校給食の調理で生まれた廃油をアップサイクルしてバイオマスストローに加工するという循環にチャレンジします。
「食」に関わる環境負荷は見落とされがちですが、オーガニック給食やバイオマスストローの取組を通じて、子どもたちが持続可能な社会の在り方を学んでいく機会を提供したいと考えています。
(広報かまくら 令和5年4月1日号 掲載文に加筆)