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「子どもが主役の学び」への挑戦 「GIGAスクール構想」

教育長の岩岡です。

2021年。
日本の小・中学校の教室が大きく進化しました。

「GIGAスクール構想」により、各教室にインターネット環境が整備され、全ての子どもに端末が配付されました。

本市では、それだけにとどまらず、iPad端末での個々の学びを共有し、みんなの学びにつなげる電子黒板(写真)を全ての普通教室に設置しました。
さらに、習熟度や苦手なポイントを自動的に分析し、適切な学習を提案するAIドリルの導入や、デジタル教科書を電子黒板に映した分かりやすい授業づくりを進めていく予定です。

電子黒板③

(写真)デジタル教科書やiPad端末のデータを電子黒板(モニター)に
映して授業で共有

なぜ、このようなICT環境の充実が学校に必要なのでしょうか。

一つ目の理由はシンプルで、ICTを前向きに使いこなす力が、これからの時代には欠かせないからです。

二つ目の大事な理由は、学校教育が目指す「主体的・対話的で深い学び」の実現に役立つからです。

子どもたちが飛び込んでいくのは、高度なテクノロジーが社会を大きく早く変化させる「Society5.0」の時代です。

つまり、教わって覚える力だけではなく、答えのない未知の状況でも、これまでに得た知識・技能を活用したり、他者と協働したり、新たな学びに挑戦したりしながら、道を切り開いていく力が必要となります。

そのためには、子どもたちが中心となって自ら学んだり、互いに学び合ったり、授業で得た知識・技能をつなげて組み立てたりできるような「主体的・対話的で深い学び」を授業で実現することが不可欠です。

ICT機器は、こうした授業を実現する上で必要な「つたえる(発信)、ふかめる(探究)、つなげる(協働)、あわせる(最適化)」といった活動を、容易に、より良いものにする強力なサポートアイテムになります。(下画像は令和3年2月15日号 広報かまくらより)

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例えば、つたえる(発信)場面。
手を挙げて発言するという従来のやり方ですと、限られた授業時間の中、積極的に手を挙げる人は授業中に発信の機会がありますが、手を挙げない児童生徒は受け身になってしまいがちです。
こんな時に、ICT(例えばGoogleのJamboard)を使えば、手を挙げた子どもだけではなく全員が意見を出すような授業作りができます。

ふかめる(探究)場面。
子どもが関心を持ったことを深めたい!と思っても、目の前にある教科書や資料集だけでは情報が限られてしまいます。学校図書室は強力な味方ですが、目当ての分野の本があるとは限りません。
こんな時に、様々な情報にアクセスできるiPadを使ってみればどうでしょうか。学習者である子どもが主体的に探究することが可能となります。

また、つなげる(協働)場面ではどうでしょう。
みんなで一つの成果物を作りたいといった時に、ペンと模造紙だとどうでしょう。時間や場所を使えばきっとできますが、とても時間がかかります。書き間違えたり軌道修正を図りたい時、一度書き始めてしまったらなかなか後戻りは難しいでしょう。
こんな時、共同編集でスライドを作成してはどうでしょうか。皆の進捗をリアルタイムで見ながら、同時に役割分担をしたり、コメントを入れあったり、試行錯誤しながら短い時間で成果物を作っていくことができます。

更に、あわせる(最適化)の場面ではどうでしょう。
子どもが「授業がわからないな」と思った時、その授業で扱っている単元より前の単元でつまづいていることが良くあります。方程式を解く単元を扱っているとき、方程式が解けない子どもがいたとします。方程式の解き方がわからないのではなく、因数分解でそもそもつまづいているかもしれません。場合によっては、分数の割り算が苦手かもしれません。しかし、授業中にその前の単元に遡って個別フォローするのは難しい。
そんな時に、AIドリルを使ってみてはどうでしょうか。子どもの間違いを自動で判定して苦手なところに遡って、その子どもが本当に単元を理解するのに最適な学習内容を学ぶことができます。

学校での活用が進み、不安に思う人もいるかもしれませんが、ICTの活用は子どもたちに将来必要となる力の育成につながっていきます。ICTが苦手な子どもや教員もいますが、教育委員会でも丁寧に研修を提供するとともに、先生と子どもが共に学びながら、少しずつ実践を積み上げていきます。

先生たちや子どもたちは日々新しい挑戦に取り組んでいますので、ぜひ応援をお願いします。

(広報かまくら 令和3年9月1日号 掲載文に加筆)