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『しゃもじのおびえ』

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迫りくる複数の足音──。
そして、私は囲まれた。

その中の一人が私のくびれを力強く掴んだ。

「やめて!」

絞り出そうとするが、想いは声にならない。
飢えた獣たちが、よだれを垂らして私を見る。

せめて、せめてシャワーを浴びさせて。
そうすれば、我慢が出来るかもしれないわ。

もう耐えられないの。
あの“白い粘り気”が私の身体にまとわりつくことが。

でも、欲にまみれた彼らに私の願いは届かない。
そして、私は無抵抗のまま放り込まれる。

熱い。息が出来ない。
獣たちの荒い吐息が私の身体を汚す。


もう、ダメ──。

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