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殺人ヘッドセットで幸せな老後

「ゲーム内で死んだら現実でも死ぬ」

そんなヘッドセットディスプレイが半分完成したらしい。

「ただ悪いニュースは、今のところ、まだあなたを殺す部分に関して半分までしかわかっていないということです。完璧なVRの残り半分の設計が完成するのは、まだ何年も先の話です」

と創業者は語る。イーロンマスクがかすんで見えるキ〇ガイっぷりで最早清々しい。

「こんな恐ろしいもん、誰が使うんだよ…」とツイッターではツッコミの嵐だったが、私は遠くない将来、全人類がこれを使うのではないか、と思った。

これを使うべき場面。

それは死ぬ時である。

今まさに死ぬという瞬間に殺人ヘッドセットを起動するのだ。

おぼろげな意識と視界の先に、現れるのは阿部寛。

「おいで」

両手を広げ、笑顔でそっとつぶやく寛。飛び込む私。厚い胸板、太い腕、低く、それでいて優しい声。極楽浄土とはまさにこのこと。

成熟した、大人の男と女(男)である。当然、抱きしめられるだけで終わるはずもなく、そこから先はもう、もう、ね…

夢の中で何度も会ったしやったこともあるので分かるのだが、寛の寛はそれはもうアレで、見た目のまんまアレなんだよね。

長い事寝たきりだった私(86歳)も、あんなアレであんなことされてしまったら老いも半身不随も忘れて、ゴルゴに抱かれるロシア女よろしく「鬼!悪魔!ひとごろしぃぃぃぃ~」と言ってしまうしイってしまう。もひとつオマケに逝ってしまう。

こんなに幸せで苦痛の無い死に方はないだろう。むしろ今すぐ死にたい。完成するのはまだ何年も先というのは、本当に悪いニュースとしかいいようがない。

ただ、デカいゴーグルをつけ、「寛!寛~!このまま殺してー!!」と叫びながら感じまくり息絶える老婆(オカマ)を、主治医とナース、そして親族はどのような心境で見送るのだろうか。ご愁傷様である。

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