2月の園だより

子どもの自立を考える ~自然な親離れは、子どもに任せる所から~

 朝晩の冷え込みが一段と厳しくなりました。早く暖かくと思うけれども、この冬を超えると次はいよいよ進級・就学が見えてきます。子ども達にとっては、次に向けた大きなステップの時です。大人も子どもも寂しさと不安の入り混じるナイーブな時期ですが、子ども達には自信と期待を持って進級・就学をしていって欲しいと願っています。
 さて3学期は、幼稚園が1番充実する時期です。あちこちで子ども達のにぎゃかな声とおもしろそうなあそびが見られます。年度当初の大人が必死に子どもを追いかける姿もほとんどなく、ゆったりと楽しみ、子ども達の成長とおもしろさをかみしめながら過ごしています。

 生活の中では、子ども達に担ってもらう仕事も徐々に増え、星組は先生のお手伝いを、花組は当番活動を、森組はクラスの集会を先生に代わって担ってくれています。学年毎に仕事の中身は変わりますが、その年代に合わせ、子ども達の力を発揮できる仕事を園では任せています。それは、子ども達をお客様にせず、園生活を共に生きる仲間・生活者として考えるからこそ任せています。

今の社会の流れを考えると、どうしてもやってあげる・してあげる。ケガも病気も避けるのが当たり前と、子どもを守るという事が前面に出てしまっているのではと感じる事があります。そして子どもを守りすぎて、子どもに任せる・託す事が出来ない様になり、子どももやってもらうのが当たり前となってしまったり、自分で判断する経験や自分の手足を動かし、体験しながら学び取る機会がすくなくなってきているのではと思うのです。

出来る事なら子どもを守るだけでなく、生活の中で任せられる所は任せ託していく、そしてその任せた所を大人が頼りに出来る。そんな場面が広がっていけば、自然と子ども達に自信と自立の道が開けて、子どもから親離れをしていくのかなと思います。そして守ってばかりいた子どもが、ちょっとした気遣いを親にしてくれた時に「大きくなったもんだ」と実感し、守るべき対象から頼り頼られ共に生きる家族になったんだと思えるのではないでしょうか。

また子どもにとっては、そのちょっとした気遣いを親が喜んでくれた時、子どもの喜びと親離れの出発点になるように思います。守られているばかりの子どもが、時に守る側にまわる。それだけで自分が少し大きくなったように感じて、成長の喜びを子ども自身が実感するのだと思うのです。園でも、家庭でも任せられる事は子どもに託し、共に生きる仲間として子ども達が自分から大人の手を離れ、自立の道を歩んでくれる事を願っています。

※今回の園だよりは、浜田寿美男さんの「親になるまでの時間・後編」を読んで、引用・参考にして書いています。もしご興味がありましたら、本の方を読んでみて下さい。

                          園長 石神建太郎

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