この先はどこへ向かうのか気になる|漫画『海が走るエンドロール』
今日の漫画は『海が走るエンドロール』です。
表紙を見ただけでは、この人は一体何者で、何歳なのか、中身を読むまで全くわからない。
というのもあって、買ってから読むまでに時間は空きましたが、「確かに面白いな」と思いました。しかも『このマンガがすごい!2022』では第1位。
ただ、賞に選ばれたと知ってから、気になることがあります。
実は「面白いんだけど、そんな大賞を取るほど面白いか、ぼくにはあんまりピンときていないな」とも感じていました。そこで今回は「面白い」と「ピンときていない」の両面を、掘り下げてみようと思います。
まずは前提から整理してみました。
本作の内容をざっくり言葉にしてしまうと、主人公のうみ子が昔にやり残したこと、置いてきた気持ちに火がつく様子が描かれていくというもの。
具体的には、夫との死別を経て、突然の1人暮らしが始まり、失った存在の大きさを感じながら、自分自身を見つめ直していきます。
そんなときに訪れた映画館、ここが1つのターニングポイントになるんです。
そこに対しては、なくはないよねと共感しています。
そして、映像専攻の美大生である海と出会い、うみ子は映画を撮りたい側だと気付かされる。
では、この先どこに向かって走っていくのかを考えると、最終的にはすごくいい映画作品を作らないと終われない、そんな匂いがするんです。他の線を考えるにしても、2人の年齢からして、恋愛に発展することはないでしょう。
そう思うと、今後の展開が広いようで狭いものに感じられて、ぼくにはしっくりきていない部分があるんです。
だからこそ、結論としては「今後どうなっていくのかが知りたいな」と思うんですけどね。
1巻では、想定外にはじまった1人暮らし、昔に置いてきた気持ちとの再会、映画との関わり方を一変させたりと、結構な動きのある漫画です。
例えばこの先に、作品をつくる苦しさが描かれていくにしても、高齢な体を使って、できることは限られてくるんじゃないか。65歳の主人公という、この設定が今後はどう転んでいくのか。
1巻から話題になった作品だけに、楽しみだなと思っています。
ストーリーの展開は早いですが、ここ最近のなかではさらっと読めた漫画でした。テンポよく読めたのは、本作が「誰も傷つけない漫画」だからだと思うんです。
そういうのって、なんかいいですよね。
ここから先は
漫画オススメまとめ(コメント有料版)
いままで書いてた漫画についてのレビューをスタートさせます。(2021年11月より) 漫画をレビューした後、良かった、コメントしたいという…
良いと思ったらサポートお願いします。嬉しいので。 もちろんちゃんと返信させて頂きます。