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SF好きにはたまらないマンガ『鉄腕アダム』
最初はちょっと文字が多いかなと思って、集中するまでに時間のかかったマンガでした。それを全4巻を読み終えたあとの感無量感(そんな言葉ないかも)、これは『彼方のアストラ』と同じくらいの感覚。
一言でいうと、SF好きにはたまらないマンガだなと。
あらすじ
蝶——と呼称される謎の「宇宙存在」に地球は襲われる。ただの兵器ではなく感情を持ったロボット“アダム”の戦いは?
全体的にはヱヴァンゲリオンみたいな世界観です。地球を滅ぼす地球外生命体(=このマンガでは蝶という名前)を撃退するために人間はAIを進化させた“アダム”を開発し、蝶と戦っていくというストーリー。
ここまではよくある話だと思いますが、ぼくの好きなところはセリフ、聖書やあらゆる人間界の知恵を集結させて作られているところかなと。
例えばこんなシーンがありました。
![画像1](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/45216148/picture_pc_2313b9795ecb327b06781ecffcb6defa.jpeg?width=1200)
選択肢があるものを人生と呼び
選択肢のないものを運命と呼ぶ
『鉄腕アダム 1』(吾嬬竜孝/集英社)より引用
こういうの好きなんですよね。運命、必然を、こう例えられるとさらに深く感じ入ります。
他にも、1つも間違ってはいけないものが重なり今があるということを、改めて文章にされていることでさらに感動しました。
![画像3](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/45216293/picture_pc_bf51a6271170491224c4b5f5b3eac067.jpeg?width=1200)
![画像4](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/45216313/picture_pc_44d01903750acc40f6603b2b4229b0f3.jpeg?width=1200)
『鉄腕アダム 4』(吾嬬竜孝/集英社)より引用
この他に言い回しで好きなのは「アルファであり、オメガなのです」というあたりですかね。ちょっと自分が厨二病な気もしてきましたが、ここ最近はそういった表現をするマンガがなかったのも確かです。
![画像5](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/45216379/picture_pc_e99b0784e4a8475d7738092ee171acd9.jpeg?width=1200)
『鉄腕アダム 4』(吾嬬竜孝/集英社)より引用
少し話はそれますが、ぼくの好きな映画にクリストファーノーラン監督作品『インターステラー』があります。
こうしたSFと呼ばれる世界観の行き着く先には「生死や生命」でもなく「質量か、それとも情報か」というテーマがあると思うんですよね。だからぼくは『鉄腕アダム』で、会話を通して「死」というものを表現されているところも好きなんですよ。
![画像6](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/45216428/picture_pc_3e65b9c3b7a91f0eb755ffa5c17e115f.jpeg?width=1200)
『鉄腕アダム 4』(吾嬬竜孝/集英社)より引用
そしていつの日も、最終最後の敵、乗り越えないといけないものは自分なんだなということは変わりません。
ただし、ぼくたちにとって「自分が生まれたこと」は、宇宙・地球の誕生に対し単位としてはあまりに儚く、到底何かを成し遂げられるものではない。
そう考えると、そもそも「何かを自分の代でやらなくてもいい」と思うことは正しいのかもしれないけど、広い意味、大きな方向性だけは間違っちゃいけないというのがよく分かりました。
ここで描かれている「人類は個としてではなく、全体として重大なエラーを抱えているのでしょう」という表現がぼくには納得すぎて...
![画像7](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/45216857/picture_pc_d937b5658a8a22ba70fc7f7a49f8fa69.jpeg?width=1200)
『鉄腕アダム 4』(吾嬬竜孝/集英社)より引用
このコロナ禍では特にハッとさせられました。
繰り返しますが、4巻にしてはボリュームがすごかったです。ぼくは敵を撃退する方法と最後のくだり、親友と再会するところが好きで、今まで読んできたSFとも違ったラストにスッキリしました。
映画になってくれないかなぁ。
これを描ける作家さん、素直に凄すぎです....
それではまた明日。
最後に。
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