足元にご注意ください
足元にご注意ください。
誰もいないホームでその音声が響く。
一定の感覚で響く無機質な機械音。
足元にご注意ください。
足元にご注意ください。
誰も乗っていない電車にわたし。
本を読んでいるんだけどな。
静かにしてくれないかしら。
車窓に映る自分。
真っ暗な窓の外。社会の外。
どうやってもそこには入れない。
なんでかしら、
ちょっと前まではそんなことなかったのに。
足元にご注意ください。
足元にご注意ください。
キミもそうやって社会を見てたの?
促しても誰も聞いてくれない注意をしながら。
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