年の瀬――寒さと寂しさ

10代の頃は年末年始が怖かった。

普段行っている場所が全部閉まってしまう。

学校も、部活も、ファーストフード店も、図書館も、わたしの行っていた場所はどこもやっていない。

たかだか数日ぐらい、何とかなるでしょ。

それがなんとかならないんだ。

凍える寒さの中、家を出て、どこに行けばいいのか、街を彷徨う。


正月に流れる琴の音楽は、わたしにとっては不安と寂しさの音楽だった。

夜9時まで開いている川向こうの図書館に行って、そこの広いロビーに座っていたら、自分の惨めさにつぶれそうになった。

この先どうなるのか、この後どこに行けばいいのか。

蛍光灯の明りが眩しくて、視界は透明に白くて、何故かきらきらしていた。


若いときの痛みや苦しさなんて、特に理由はないかもしれないけど、
でもあの図書館の眩しさは今でも覚えている。


日常がなくなった時に、放り出される人がいることを誰も知らないような気持ちになるけど、

どこかであなたのことを思っている人がいると伝えたい。

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