memo:20221113_理論生物学
先月から新松さんとユクスキュルTheoretische Biologie(『理論生物学』、1920;1928)とBedeutungslehre(『意味の理論』、1940)を題材とする翻訳研究会を始めた。毎週1、2回。1回につき3〜4時間程度(そのうち1時間はだいたい雑談)。
誰かが書いたもの、それも他言語で書かれた書物を翻訳するのだから、当然ながら原著を骨の髄まで読み解くつもりでやる。不完全に終わるのは目に見えているにしても、そのつもりでないと全くやる意味がないし、著者に失礼である。原著に沿って正しく、かつ日本語として読みやすい翻訳書を目指そう。「悪訳は罪」と、翻訳ノートの表紙裏に書いておいた。
一方で、怯えてばかりでは楽しくない。翻訳という仕事は、著者の生きた人生の「追体験」という楽しい冒険も含まれる。幸いユクスキュルは大衆向けのエッセイをいくつか書いており、それらにはちらほら幼少の原体験が描かれるので、追体験の材料になる。一方で、教養人ユクスキュルの頭の中を覗くのはなかなか大変だ。カント、ゲーテ、ダーウィン、ヘルムホルツ、、といった巨人たちの学び直しもしなければ。ユクスキュルが使う一単語や言い回しでいちいち立ち止まり、100のことが知れるよろこび。これぞ研究会の醍醐味。
ユクスキュルの歩んだ人生を限りなく追体験しようと試みること。また、彼の生きた時代と現代を繋いでユクスキュルをあらゆる方向から再解釈してること。これらを踏まえて、翻訳という「二次創作」に挑もう。
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