![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/124716111/rectangle_large_type_2_19549ea1b8afbc0a5ab02ad0ad219493.png?width=800)
【企業分析】プロネクサス(7893)
プロネクサスとは
上場企業や金融商品運用会社のディスクロージャー・IR資料作成の実務支援を行う専門会社です。
システムとコンサルティングで開示実務を効率化しており、
現在上場企業のおよそ約60%と契約を結んでいます。
![](https://assets.st-note.com/img/1702615428637-fTagr20cL8.png?width=800)
歴史
創業期:「印刷屋と呼ばれたくない」
1930年12月に証券の印刷を専門とする会社として、上野一雄が前身である「亜細亜商会」を創業したのが始まりです。創業当初より一般的な印刷屋からの差別化を図り、株券や証券の印刷に特化しました。
![](https://assets.st-note.com/img/1702616758155-p4k2rLaezI.png?width=800)
変革期①:ディスクロージャービジネスへの展開
1980年前後に株式関連の情報サービスを拡充した結果、株主総会招集通知や、株主向け年次報告書等の受注が急増しました。
それを皮切りに、将来の成長戦略として、証券取引法(現・金融商品取引法)関連書類分野への進出を計画しました。
これにより有価証券報告書、IPO関連書類の上場申請書、さらには投資信託関連書類へと取り扱い製品の範囲が拡大しました。
変革期②:ディスクロージャー関連法制度の大改正
90年代から2000年代には、資本市場とディスクロージャーに関する多くの制度改革が迅速に実施されました。
有価証券報告書等に関する電子開示のEDINETが2001年に稼働が開始され、2004年に義務化されます。
2007年には金融商品取引法が施行され、四半期法定開示、XBRL開示、財務報告における内部統制報告制度がスタートしました。
![](https://assets.st-note.com/img/1702618448257-Mp3hcbD9u2.png?width=800)
2008年には、新EDINETに導入されたXBRLや四半期報告制度に対応した開示業務支援システム「PRONEXUS WORKS」をリリースしました。これは現在、一種の開示実務インフラとして上場企業の半数以上に利用されています。
また1996年には東証二部に上場し、2004年に東証一部銘柄となっています。
![](https://assets.st-note.com/img/1702711137058-j0vhAjQguz.png)
プロネクストは一族経営であり、株主を見ても上野性が並ぶ
会社全体の業績
会社全体の業績は非常に安定していて、
2023年の売上高は268億円。
純利益は6%で、時価総額は329億円となっています。
![](https://assets.st-note.com/img/1702619216285-zeqq6WCsx4.png?width=800)
事業内容
事業内容は大きく分けると、まず「上場会社向けビジネス」と「金融商品向けビジネス」に分けることができます。
「上場企業向けビジネス」としては、以下の2つの部門があります。
上場企業ディスクロージャー部門
上場会社IR部門
1. 上場会社ディスクロージャー部門
[顧客]:上場企業(総務、経理)
[商品]:有報、決算短信やIPO関連の書類の印刷・作成
![](https://assets.st-note.com/img/1702620769645-C6qvtOAxAO.png?width=800)
2.上場企業IR
[顧客]:上場企業(IR担当部門)
[商品]:株主通信の印刷・作成、企業サイト作成、株主総会支援
![](https://assets.st-note.com/img/1702711308154-Ankxq4Y732.png?width=800)
一方の「金融商品向けビジネス」は、
金融商品ディスクロージャー部門と呼ばれています。
また新分野として企業情報・経済統計データベースも販売しています。
3.金融商品ディスクロージャー
[顧客]:投資信託運用法人、J-REIT運用法人、外国投信
[商品]:届出書、有報、運用報告書など作成システム開発、印刷
![](https://assets.st-note.com/img/1702622579696-uAeXgMVrdQ.png?width=800)
4.データベース
[顧客]:大学、研究機関、一般企業
[商品]:企業情報データベースeol など
![](https://assets.st-note.com/img/1702622749797-at996C9GzA.png?width=800)
事業ごとの業績
セグメント構成比
![](https://assets.st-note.com/img/1702622979362-8k6qPURJJv.png?width=800)
上場会社向けがおよそ70%、金融商品向けが25%を占めています。
![](https://assets.st-note.com/img/1702626523474-fteh1ftuch.png?width=800)
また事業別の売上高推移は上図のようになっています。
それぞれの事業の業績推移については以下で説明します。
1.上場会社ディスクロージャー
![](https://assets.st-note.com/img/1702623530744-QB0VeGwHpC.png)
この事業は売上の大部分を占め、かつ最も伸びています。
主要製品の株式総会招集通知は、電子提供制度が導入されることで企業の約3割が印刷ページ数を減らすものの、個人株主数の増加、印刷用紙の値上げ・カラー化、そして働き方改革による業務効率化へのニーズ(アウトソーシング)により増益しています。
2.上場企業IR・イベント関連
![](https://assets.st-note.com/img/1702624949245-tPOFQfMY9D.png)
上場企業IR部門の業績は一見急激に伸びているように見えますが、これは”㈱シネ・ホールディングス・㈱シネ・フォーカス”をM&Aしイベント事業が拡大したことによります。
3.金融商品ディスクロージャー
![](https://assets.st-note.com/img/1702625685827-HjZ4El5f6x.png)
金融商品ディスクロージャー事業は、J-REIT関連においてはファイナンス関連製品の受注が増加したものの、外国債券関連製品が大幅に減少し、減益となっています。
4.データベース
![](https://assets.st-note.com/img/1702626084905-5DPc75pUq8.png)
データベース事業においてはほとんど変化が見られません。
市場
競合としてはTAKARA & COMPANYが挙げられますが、有価証券報告書をはじめとして、株主総会の招集通知など会社法の法定書類やIR書類などの上場会社向け市場に関しては、プロネクサスとTAKARA & COMPANYが二分している寡占状態となっています。
![](https://assets.st-note.com/img/1702628852587-dZBMjTepBo.png?width=800)
有価証券報告書や招集通知におけるシェアは50%を上回る数値が維持されています。
![](https://assets.st-note.com/img/1702628957028-p3Fd6R0kLQ.png?width=800)
また新規IPO社におけるシェアも50%程度となっています。
今後
前述したように2023年3月以降の株主総会では、株主総会資料の電子提供制度が開始されました。
今期においては上場企業の約3割が印刷数を減らすとのことでしたが、この割合は必ず増加していくため非印刷への移行が一層求められるようになったと思います。
![](https://assets.st-note.com/img/1702627815698-wmpoUuOBff.png?width=800)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?