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全部やめて捨てたくなったときに、勇気をだしてやってみること。

嫌いなこととか、苦手なこと、共同者とのソリが合わないこと。生きているだけで、ネガティブな、もやもやすることによく出会う。

いつもは平気なのに、なんとなく今日はもやもやする、みたいなこともあって厄介だけど。

こういうもやもやを抱えていると、あるとき「そうだ、全部やめちゃおう」と思い立つ。

仕事を辞めたり、趣味のコレクションを全部売ったり、人との連絡をとらなくなったりする。

こうして周りから、ネガティブなものは消え去り、いったんは平和がやってくる。

でもこれって、「臭いものにフタ」みたいなことだと思う。

もう一度はたらき始めて、趣味を見つけて、人との関係が生まれてくると、結局またもやもやが集まってくる。

「そうだ、全部やめちゃおう」を、ぼくは「捨てる」と呼ぶんだけど、経験上、捨てるのはあまりいい戦法じゃない。

捨てても、また集まってくる

捨てるがなぜうまくいかないかって、それは、捨てると「見えなくなる」からだ。

真っ黒なゴミ袋にもやもやを入れて、「そうだ、全部やめちゃおう」の日にまとめて出す。

するといったん自分の部屋はキレイになるし、まるで自分が「カンペキ」になれたような気がするよね。

でも、部屋を片付けられない仲間たちは分かると思うんだけど、断捨離で気持ちいいのって、最初の1週間くらいだけ。

あとはじわじわと部屋が汚れていって、なんなら捨てたものと似たようなものをまた買っちゃって、まもなくもとの汚部屋にもどっていく。

全部やめちゃおうで身の回りを整理するのも、これに似てる。どんなにもやもやが見えないように捨てても、またおなじようなモノゴトが集まってきてしまう。

これは仕方のないことで、だってそのもやもやは、もともと自分が選んでいるものだから。

捨てて見えなくなると、嫌だったことを忘れて、また集めてきちゃうんだよね。

部屋にあふれる本や置き物や便利グッズとおなじで、はじめは「これが欲しい」とか「必要だ」と思って近づくんだから、どれだけ捨てたって似たようなものを集めようとしちゃう。

もやもやの原因には、「いいものな気がしてたのに」っていう期待の反動もあるんだろうね。

全部捨てる、の前にやっておくこと

捨てる前に一度、それがなぜ嫌なのかを、考えてみてほしい。

たとえばそれが自分の仕事なら、その仕事のなにが嫌なのか。給料や待遇が悪いのか、職場の人間関係が悪いのか、仕事の中身がいやなのか。

いやなことが分かったら、今度はそれがどうして嫌なのか。

もやもやの原因が分かれば、似たようなもやもやに近づいてしまうリスクがぐっと下がる。それを捨てなくてもいいと気付いたりもするかも。

「もう全部やーめた」で捨てると、すっきりはするけどね。

ネガティブな気持ちの一切ない、カンペキな生活を送っている、みたいな気持ちにはなれるんだけど、それは絶対に長続きしないよね。

「もう、全部やめちゃおう」は、ある種の劇薬。一時の効果は大きいけど、ずっとその治療法を取り続けることは難しい。

それよりもネガティブな気持ちをしっかりと見つめ直して、それから捨てるとか捨てないとかを選んで、未来をつくっていく方が、よっぽど生きやすいと思う。

捨てる前に、ちょっと勇気を出して見つめ直してみようね、という話でした。

(余談)部屋の片付け方

話は変わるけど、ぼくは部屋のものを、カテゴリではなく使用頻度で分けている。

よく使うものを取り出しやすい場所にしまって、めったに使わないものを棚の奥にしまう。

捨てるときは部屋の奥の3軍から捨てる。買うときは、これが何軍の選手になるのかを考えて買う。たまに軍の入れ替えをする。

これだけで、生活圏に使わないものがある、というストレスからは一気に開放された気がする。

もしかすると捨てちゃいたい嫌なことも、無意識のうちに一軍にいるからもやもやするだけで、2軍3軍にいたりする分にはちょうどいいのかもね。

(余談2)昔、捨てる捨てないのセリフを書いた。

この記事を書くきっかけになったのが、数年前に書いた『離レ離れの眺めじゃダメ?』という演劇を思い出していたこと。捨てる捨てないにまつわるセリフが登場する。

付き合っていたカップルが別れ際に、部屋のものを整理しながら、いるいらないを決めていくんだけど、なんでも捨てる派のパートナーに対してもうひとりが「ものを捨てることは、ものに宿る思い出を捨てること」「思い出を捨てることは、自分を捨てちゃうこと」みたいな話をする。

なんとなくだけど、いまと近いことを言っていたなあ。

選んだものをなかったことにするのは、これまでの自分を無視すること。それはちょっと、もったいない気がする。

この作品はぼくのnoteで公開してるので、興味があったら読んでみてください。


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