『ハズビン・ホテルへようこそ（HAZBIN HOTEL）』という最高のアニメについての感想

今より少し昔、SNSでどこからともなく流れてきた謎の海外アニメの情報。自主製作のインディーズ作品で、YouTubeで配信されているらしい。そこで観たのが2018年に公開された『INSIDE OF EVERY DEMON IS A RAINBOW (悪魔は皆 心に虹がある)』でした。
そのポップでスタイリッシュなカートゥーンのキャラクターデザインと、ちょっと過激だけど明るくてインパクト溢れる歌に一目惚れ。これは『HAZBIN HOTEL』という作品の一部であり、本編で流れる予定のミュージカルシーンの先行公開だということを、後に知りました。

そして2019年、パイロット版がYouTubeで公開。
地獄のプリンセス・チャーリー（堕天使ルシファーの娘！）が地獄の人口増加に対する天使達による大量虐殺を食い止めるため、罪人を更生して天国に送り出すためのホテルを開業。とはいえ、暴力と性と酒とドラッグに満ち溢れてモラルがマイナス方向に振り切れている罪人ばかりの地獄では当然思い通りに事が運ぶ訳はなく。それでも「どんな過ちを犯した人でも変わることが出来るはず」という希望を胸に奮闘するという内容のミュージカルアニメです。
このパイロット版は、今や再生数が1億回を超えるという世界的な大ヒット。『INSIDE OF EVERY DEMON IS A RAINBOW』の時点で心を鷲掴みにされていた私も、ここで改めて『HAZBIN HOTEL』の面白さを確信しました。

その後、パイロット版の大成功を契機になんやかんやあり、映画会社A24の下で正式なアニメシリーズとして製作される事が決定。一日千秋の思いで約束の時を待ち続けていましたが、遂に2024年、Amazonプライムビデオ独占配信という形で『ハズビン・ホテルへようこそ』という邦題で再始動したのです。

という事でシーズン1を最終話まで観たわけですが。これはもう自分の生涯で観てきたアニメの中でもトップクラスの面白さと断言できます。パイロット版で惚れ込んだ要素の全てが期待を裏切らず、最高のエンタメとして昇華されていました。最高の最高です！

まず秀逸なのがキャラクター造形。前述の通り、とってもポップでスタイリッシュでカートゥーン独特の可愛さが溢れています。圧倒的に良デザインなキャラがわんさか出てくる上に、どいつもこいつも一癖も二癖もある魅力的でエキセントリックなキャラクターばかり。話が進む度にどんどん良いキャラが出てきます。
ちなみに、私の一番のお気に入りはアラスター。第4話を観た後はエンジェル・ダストとハスクの関係性のエモさも急上昇。何故か話が進む度にカワイイおっさん化が進行していくサー・ペンシャスも良い。でも、なんだかんだ言っても主人公のチャーリーは全面的に応援したくなる魅力に溢れている・・・そんな感じでキャラの魅力を語ると話が尽きません。

そして音楽の素晴らしさ。パイロット版の『INSIDE OF EVERY DEMON IS A RAINBOW』の時点で楽曲の完成度の高さは証明済みでしたが、正式版の楽曲達もどれも最高なミュージカルナンバーに仕上がっています。しかも1話毎に2曲のミュージカルシーンがあるというハイペース。そのどれもが物語とキャラクターの魅力と印象的なメロディががっちり噛み合っている名曲です。
第4話の『Loser, Baby』など、そこに至るまでの辛い展開と合わせて、世の全てのLoser（負け犬）達への美しくて優しい応援歌になっていて素晴らしい。
第1話の『Hell is Forever』も、ヴィランがノリノリで歌う悪役の歌になっている上で、後々の重要なシーンに繋がる曲になっていて印象的。
第5話のパパ対決曲『Hell's Greatest Dad』も、本来であれば地獄最強レベルの超ヤバい悪魔2人が妙に大人げない対決をする様が、やたらテンポ良く耳に残るメロディーと奇想天外な映像で癖になります。
まだまだ名曲が溢れていますが、音楽の魅力も語ると尽きません。

地獄を舞台にした”過激で下品”と”明るくてカワイイ”が渾然一体になったカオスな世界観。秀逸なデザインで魅力的なキャラクター達。途轍もない完成度のミュージカルナンバー。そして「人は変わることが出来るはず」という小さな希望が、少しずつ周りの何かを変えていくという物語が本当に素晴らしかったです。

Amazonプライムビデオの独占配信ではありますが、キャラクター紹介やミュージカルシーン、本編の一部映像などはYouTubeで無料公開されています。少しでも興味をもった方は、YouTubeで試聴をおススメ。
ちなみにシーズン1第1話はパイロット版の続きから始まります。つまりパイロット版が第0話のような扱いなので、出来ればこちらも観ていただきたいです。

現時点（2024年）の公開はシーズン1まで。既にシーズン2の製作も進んでいるらしいので、今から続きが待ち遠しいです！