見出し画像

北海道・札幌芸術の森美術館『水木しげるの妖怪 百鬼夜行展』を観てきました

北海道・札幌芸術の森美術館で『水木しげるの妖怪 百鬼夜行展』(会期:2024年6月29日(土)~ 8月25日(日))を鑑賞してきました。

美術館のある札幌芸術の森は自然に囲まれており、人の手が及ばない山々や森林がすぐそこまで迫っているような場所なので、妖怪が集うにはなかなか好都合な土地だと思います。

本展はその名の通り、『ゲゲゲの鬼太郎』の作者にして妖怪研究の第一人者である水木しげる先生の妖怪画が多数展示されています。じっくり鑑賞することが出来ましたが、やっぱり先生の妖怪画には愛嬌と畏怖が同居するような独特の味わいがあります。妖怪への愛情と敬意が画に表れているかのようです。

先生が妖怪画を描き続けていたのは、一つは妖怪の研究や収集のため。そして、不可思議な現象、目には見えないもの、人の世の理とは別に在るもの、そのようなものに"形"を与えることで先人の文化や思想のようなものを後世に残そうという想いもあったそうです。

他にも、先生が蒐集した数々の妖怪研究資料や、妖怪研究で影響を受けた柳田國男や鳥山石燕等の先人達との関係についても解説されていたので勉強になりました。

柳田國男との出会いが妖怪研究に至る原点の一つだったそうで。やっぱり民俗学や妖怪・怪異の話になると、だいたい柳田國男に辿り着きます。柳田先生の日本の文化史や創作界隈に与えた影響の大きさは計り知れない・・・

妖怪という"形"を与えるという点で大いに影響を受けたという鳥山石燕についての解説も面白かった。水木先生の妖怪デザインは鳥山石燕の妖怪画を踏襲しているものが多いのですが、その辺りについての妖怪の”形”に対する想いや創作手法についての話がたいへん興味深かったです。

改めて水木しげる先生の偉大な仕事を感じることが出来て、とても満足な展示会でした。先生の愛した妖怪達が、不可思議な現象や目には見えないものへの興味や敬意とともに、後世に引き継がれることを願います。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?