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【トークイベント】3拠点のゲストと考えるクリエイターのつながりと、変革の欠片

宇都宮・益子・栃木の3地域で連携開催したクリエイターズファイル展のメイン企画として、11月20日に開催したトークイベント。

ここではクリエイティブな要素が必要になる、栃木県内で作られている広報物やメディア、仕掛けられている取組みなどについて繰り広げられた当日の熱いトーク内容を、ダイジェスト版としてご紹介します。

登壇者は、宇都宮・益子・栃木のクリエイターズファイルを取りまとめる代表3名がそれぞれゲストを一人お呼びし、計6名となりました。

トークセッション登壇者(敬称略)
▼宇都宮
⻘柳徹(ブランディングデザイナー)
中村周(ビルトザリガニ・建築家)
▼益子
⼤塚康宏(ヒジノワ共同代表・ウェブクリエイター)
簑⽥理⾹(プランニングディレクター・編集者)
▼栃木
清⽔将司(グラフィックデザイナー・イラストレーター)
遠藤百合⼦(栃⽊市地域おこし協⼒隊※イベント当時)

それぞれの考え方やライフスタイルから、地域とクリエイターのつながりについて考えていきます。

クリエイターたちは栃木でどんなことを思ってる?

トークイベントの冒頭では登壇者6名全員に、自己紹介として普段の活動を発表してもらいました。

まずは、今回カマクリにクリエイターズファイルの企画を持ち込んでくださった益子町の簑田さん。

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都内で編集者として活躍後、益子へ移住して活動の幅を広げ、現在は「プランニングディレクター」としてさまざまな企画も推進しています。

かつてクリエイターズファイルを益子のヒジノワにて作成したのをきっかけに、益子だけでなく県内全体でのクリエイターのつながりづくりに価値があると感じたそうです。

そんな蓑田さんがきっかけとなりUターンしてきたのが、ゲストの大塚さん。

東京でゲームなどのクリエイターとして働ていましたが、家族と共に地元の益子へ戻ることを決意。「道の駅益子」ができるタイミングで地域おこし協力隊に着任し、クリエイティブスキルを活かして広報物全般を担当しました。現在はフリーランスとして、ウェブサイト制作などをしています。

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その傍らで、先祖代々受け継いでいる里山の土地を活かす活動「道祖土里山秘密基地計画」も遂行しているそうです。

お次は栃木市のお2人。

代表としてクリエイターズファイルの取りまとめをしてくださった遠藤さんは、地域おこし隊としてUターンし、嘉右衛門町と呼ばれる歴史ある蔵のまちで暮らしています。

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自称「非クリエイター」だからこそ、さまざまなクリエイターさんと共に地域の可能性を広げる活動に取り組み、栃木に関わりチャレンジしたい人の応援を大事にしているそう。

そんな遠藤さんが栃木市のクリエイターとしてゲストにお呼びくださったのは、清水さんでした。

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小山市出身の清水さんは、結婚や子育てを機にUターン。

もともと東京で仲間と立ち上げた会社で引き続きイラストレーション・グラフィックデザインの仕事をしながら、生活の拠点を栃木に移しています。

東京での大きな案件にも携わりながら、遠藤さんと組んで嘉右衛門町で、クリエイティブな動きを仕掛けたりもしてきたそうです。

最後は宇都宮代表として、まずはカマクリの中村から。

東京生まれで宇都宮大学に入学し、大学院卒業まで約10年間宇都宮で活動。東京で就職してからも週末に宇都宮に通う生活をしています。

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釜川沿いの空き家をリノベーションして拠点にしたり、地域のイベントを主催・サポートするなどの関わりしろをつくっています。

中村がゲストとしてお声がけしたのは、青柳さん。

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栃木市出身・在住でデザインを軸に活動されている青柳さん。

母校の小学校や県内の伝統工芸のブランディング、栃木県のソウルフードでもあるしもつかれをテーマにした「しもつかれブランド会議」の主催なども行っています。

多くの人に「もともと地域にあるもの」に目をむけてもらえるように、クリエイティブな視点やデザインを入れることを大事にしているそう。


全員の活動内容やその背景にある想いが見えてきたところで、今回の本題となるテーマに沿ってのトークディスカッションがはじまりました。

視聴者の皆さまからいただいた質問も踏まえて、ハイライトをご紹介します!


Q:今回のクリエイターズファイルの展示を通してどんな変化が起きそうですか?

簑田:益子のクリエイターズファイルは若手中心に声をかけました。すると「リアルで交流会をやりたいです」と。クリエイターがどんどん友だちになっていく様子を見て、お母さん的な気持ちになって嬉しかったです。

お互いに影響しあい、誰かが「つくる」をやったことが、誰かの「せいかつする」につながったり、どんどん連鎖して対話が生まれたり。

遠藤:今回は栃木の中でも嘉右衛門町にかかわる人に限定してお声がけしてみました。人が集まるか心配だったけど、人づてに「あそこのクリーニング屋さん、すごいよ」と教えてもらうなど、年齢層も定義も幅広いクリエイターが集まりました。今までつながりがなかったグループ同士が関わりを持てたこともよかったです。

中村:今回は「宇都宮に縁のある方」という枠で幅広く募集したので、今まで関わりがなかった方が参加してくれ、新しいコトが起き始めています。

今回の展示をきっかけに、下の階のコーヒー屋さんに来たお客さんがクリエイターズファイル展を観に来てくれたりもして、クリエイターとの接点を築けた感覚があります。

Q:クリエイターズファイルに参加して変わったことは?

清水:これからだとは思うけど、新しい人たちとも組んで仕事をしていきたいと改めて思いました。問題解決をするために何が必要なのかを考えられるクリエイターを、下の世代の人たちとつくっていきたい。そのきっかけになるのかなと思いました。

中村:この3地域からのつながりを広げて、面白いことがどんどん生まれていく流れをつくって行けたらいいですよね。

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Q:これからどんな風につながっていくのがいいと思いますか?

大塚:今回を機に、お仕事をお願いして一緒につくっていける仲間ができたらいいなと思いました。今回青柳さんや清水さんにお会いできたし、もっとお話を聞きたいなと思いました。

簑田:これからもヒジノワからつながりを生んでいくようなことをしたいと思っています。その中のひとつとして今年から「レポーター養成講座」をやっていて、地域の中から発信する力を育てる取り組みをしています。そういうことを今後も継続していきたいです」。

青柳:今回こうして皆さんにお会いできたことがすごく財産だし、これから一緒に何かやっていきたいですね。次は益子でしもつかれのイベントをぜひ。

遠藤:今回は知っている人にこちらからお声がけしたのですが、私はこれからシェアキッチン&スペースをオープンするので、そこでは新たなつながりができていくといいな、なんて思いながら今回取り組ませてもらいました。素敵なタイミングに機会をもらえたなと思っています。

清水:これまでも栃木っていいな、何かをしたいなと思っていたのですが、なかなかつながりがありませんでした。今回を機につながって、クリエイター同士でやりがいのあることをしていきたいなと思いました。

中村:せっかくつながったので、今回展示された方も一緒になって、みんなで飲み会みたいなことがしたいなと思いました。新しいことがはじまるときって、すごくリラックスした状態で楽しいことが生まれると思っていて。

コロナ禍という状況もあるので、それができなくてもweb上などで何かできるといいな。それぞれがつながって、一緒に何かができないかなと。

クリエイションというとかっこいい感じになってしまうけど、それこそクリーニング屋さんとか、職人さんとか、一緒に生活がよりよくなっていくこともしたいですね。

Q:都市の規模によってコミュニティのでき方が違うと思いました。特に益子は規模として小さい中でどんな風につながりが生まれていったのでしょう?

簑田:まず場所の前にイベントとして官民協働の「土祭」が生まれたのが大きかったですね。そこからヒジノワも生まれました。そして益子の特徴で、地域に点在するカフェごとに小さなコミュニティがつくられていることも多いですね。

大塚:普段は作家さんの顔のつながりでコミュニティがあって、それがまちとしての大きなイベントをきっかけに、別のコミュニティどうしがつながるっていうのはありますよね。

Q:色んな人とつながりたいのは行政も同じだと思う。皆さんの地域で行政とどんな関わりをしたいですか?

中村:釜川では官民連携の取り組みをまさに進めているところなのですが、「今できないことをできるようにする」という、今の時代に適したルールを一緒につくっていこうとする動きがありますね。

清水:東京の大きい組織と地域の行政が組んで何かを進めることもあると思うのですが、そこに地元の人が熱意を持って活躍できる場を用意してもらえたら健康的だなぁと。

簑田:行政の方が規制などの縛りを把握して、「これをこうすればできる」などと伝えてもらえたらいいんじゃないかな。どういう風につくりたいのかがまずあって、そのために法制度をどう捉えるか。

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簑田:行政に限らず、民間としても機会を捉えて、今回つながった人たちで「勝手に編集会議」みたいな形で何を発信していくかを話し合ったりしていきたいですよね。

青柳:僕がやっているしもつかれブランド会議もそうなのですが、それまで「デザイン」という文脈がなかったものに自分たちから関わっていくとか。僕が関わっている行政の方はすごく協力的なんですが、どっちが上とかじゃなく一緒に目指して長いスパンで考えてもらえるのが、すごくいいのかなと。

つながるきっかけが今回。動き出すのはこれから

中村:クリエイションで民間のつながりを持っていくことも大事だし、今日のような会でそれぞれが今やっていることを話しあったり、地域ごとの特徴を生かした上で、次のステップを考えていきたいですね。

遠藤:色んな地域とつながって、それぞれの地域でいいところを見つけていきたいな。本当に「今日動き出したな」という感覚があります。

清水:僕は、自分ができることを企業なり地域なりの方々とやるのを大事にしているのですが、今日みなさんと出会えたこともあるので、みんなで何か大きいことができたらいいなとも思いました。

青柳:やっぱりこの土地らしい伝統工芸をアップデートしていくために、今回のようなさまざまなつながりをうまく使いながらやっていきたいです。

簑田:最近考えているのは、「何のためのクリエイティビティなのか」を若い世代の方々とも考えていていきたいなということ。クリエイター自身も、サポートする私のような存在もそれを考え続けられるようにしたいなと思います。

大塚:そうですね。もっと小さなところでも、「継続してやっていくことって大切だよね」という話題が今日何度かあったので、まずは続けていくことを大事にしたいなと思いました。

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