暮らしの理想

4人家族で1年間の燃えるゴミが小型の瓶1個分だけ、という衝撃的な暮らしを実現しているフランス人女性の本を読んだ。
エコで優雅な暮らしの秘訣が色々書いてあった。具体的なテクニックや考え方や、そもそも日本の小売りやゴミ収集の仕組みの違いも考えさせられた。

ただ、一番印象的だったのは、最後に著者が思い描く未来像が滔々と語られていたことだった。自分以外の家庭も含む買い物の仕方や皆の健康状態、教育、地域の在り方など、こんな世界を望んでいる、という理想。
それがどんな未来か、ということより、どんな未来を実現したいか、がハッキリしていることが強烈に羨ましいと思った。

自分の暮らしを考えると、満員電車に乗りたくないとか、会社に拘束されたくないけどお金は欲しいとか、断片的な不満や思いがあるだけだとしょんぼりした。
ではどんな暮らしが理想か考えてみましょうと思っても、今、家にこもっていても届けてもらえる食べ物はどこのだれがどう作って、どのように運ばれて、自分が生きるためにどれだけエネルギーを使っているのか、知識がなくて驚いた。

こんなふうに暮らしたい、という理想を組み立てたいと思うと、知りたいことが増えて来て、また通販で本を買ってしまいそうだ。
暮らすというのは、思ったよりスケールが大きい。

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ゼロ・ウェイスト・ホーム ごみを出さないシンプルな暮らし
ベア・ジョンソン著 服部雄一郎訳
KTC中央出版 2016.9.17

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