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N起業(非営型利起業) その7 ~競争型社会からの脱出のために~

ここまでの【その1】から【その6】を読んでいただけた方には(※まだの方は、とりあえず【その4】を読んでいただけえば嬉しいです)、だんだんおわかりいただけたのではないかと思うのですが、ぼくが言いたいのは、「N非営利組織」が決して特別な組織ではないということです。

「B営利組織」によって「なりわい」とすることが、現代社会においては、あまりにもメジャーになりすぎたので、「そうではない」組織に違和感を持たれているだけだと思うのです。

「N非営利組織」は、ごく普通の組織ですし、働いている人(従業員)とそのサービスを受け取る人(お客)のメリットを追求する組織と言えます。(私立の学校や社会福祉協議会などがよい例と思われます)

むしろ「B営利組織」が特殊なのです。本来、働いていない人(出資者=株主さん)の利益を追求する組織なのですからね。

だから、ホントは「B営利組織」を立ち上げるほうがハードルが高く、「N非営利組織」を立ち上げる方が、ごく自然なのではないでしょうか?

それなのに、一般の方が起業しようとするとき、なぜか「B組織」を立ち上げようとしてしまう。もちろん、「とことん営利を追求するのが目的なんじゃ!」という場合はそれが正解かもしれません。しかし、そうではない方でも、なぜか「ちょっと違うのにな」と感じつつ「B組織」で事を始めてしまう。

なぜでしょう?これには2つ理由があると思います。

ひとつは、「N非営利組織」というものについてはよくわからない、理解が行き届いていないことです。これは当人だけではなく、世間一般の方全体の問題です。ご本人もよくわからないし、もし本人がわかっていたとしても、周りがよくわからないから賛成されない。そして、よくわからないものに対する警戒心が働き、すんなり受け入れてもらえなさそうだし、社会活動(取引)に支障が出そう。という不安があるのだと思います。

要するに「見慣れない生き物」に対する警戒心と同じだと思います。

ホントは変な話なんです。「利益を追求してます!」と宣言している「B組織」がすんなり信用され、「社会的善を目的にしています!」と宣言している「N組織」が怪しまれてしまう世の中。

もうひとつの理由は、まだ「N組織」に対する社会制度が整っていないことです。現在の日本では、基本的に労働者(従業員)は、「B組織」に属しているものと考えられており、そちら向けの制度はどんどん整ってきています。例えば、労災保険、雇用保険、最低賃金、など。

もちろん「N組織」のスタッフもこの制度に乗っかって、保険に入ることはできます。でもなんかちょっと違うのです。以前にも書きましたが、「N組織」では、「従業員」と「会員=経営者」がほとんど重なっていることが多く、意思決定権を持つみんなが、その都度、融通を利かせながら、経費支出をコントロールすることが多くなります。そんな中、年間通じて毎月同じ額を支払うのが当たり前のこういった制度に乗っかるのは、なかなか難しいというのが多くのN組織の実情です。

また、理事長などの役員トップの者は、雇用保険に入れませんし、労災保険にも原則入れません。「B組織」では、役員はすなわち「お金持ち」という前提があり、いざというときには資産を持っているからこれでも成立するのだと思いますが、「N組織」においては、基本的にそんなことはありません(ちょっと言い過ぎ?)。利益分配がないこともその原因でしょう。もちろんその組織で働いていれば、給与を受け取ることはできますが、労働の対価として適正な額を受けとるのが現状であり、離職したあとの保証までまかなうという意味では希薄なのが実情です。

こういった問題を解決すべく、少しずつNPO族のみなさんで新しい仕組みづくりを始めていたり、何年かに一度、法改正なども進んでいますが、いかんせんまだまだ組織の実数が少なく、仕組みが磨かれて行く速度が遅い気がします。(参考:株式会社は、年間約130万件設立。NPO法人は、年間約1000件設立。)

出会った方に、僕が「営利組織」と「非営利組織」の正しい理解にまつわるこういったお話をすると、ひっくり返って驚かれる方が多い。「まったく認識が違っていた。確かに言われたらそうや!」となります。

ぼくが、言いたいのは、非営利がよいとか営利が悪いとかという話ではなく「それぞれのホントのことをわかった上で事を始めましょう!」ということ。そして、「もっと気楽に事を起こしてよいじゃないですか!」「そして、それには非営利組織ってちょうどよいかもですよ。」ということです。

そして、、、「そろそろみんなで、競争型社会から脱出しませんか?」ということ。

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