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N起業(非営利型起業) その6 ~NPOとNPO法人~

N起業(非営利起業)とは、営利を主目的としない起業のスタイルです。

じゃあ何を目的とするのか?「事業の中身」です。

NPOは、社会における課題、地域における課題を見つけ、「ほっとけない!」と感じたことを解決するために事を起こします(いや、本当は、多くの営利目的事業者も同じような感覚でスタートを切っていると思うのです)。その地域課題を少しでも解消するために、事業を実施しますが、「事業を継続させていくための資金繰りに苦労する」というのがひとつのパターンになっていると思います。

このときに、2つの分かれ道があります。

ひとつは、「資金繰りが苦しくても、自腹をきってでも、この事業を継続させるんだ!」という意気込みでなんとかかんとかその事業を続ける。という道。

もうひとつは、「この事業の形では継続できない!ちゃんと組織運営ができるように、事業を変えてでも収入が確保できるようにしよう!」と考える道です。

どちらの道が正解か。という議論ではなく、歩む道が2つあるというお話です。この「2つ目の道」を歩いたときに、ややともすると、収入確保のために、元々掲げていた地域課題の解決からはほど遠い事業展開を行ったり、もっと儲け主義が加速すると、他の事業者を出し抜いてでも収入を確保しようとしてしまうかもしれません。こうなってくると、NPOすなわち「N非営利型組織」とは言えなくなってくるのです。

しかし、2つ目の道は重要です。継続するためにちょっと事業の形を変えてみたり、収入が確保できるための仕組みを別途つくってみたり。むしろこういった工夫をどんどん行って、収入確保、事業継続を図っていくことが、NPOにとっても重要なことなのです。

さて、先程からNPOという言葉を使っていますが、「NPO」と「NPO法人」について、解説しておこうと思います。

「NPO」=「NPO法人」という認識を持たれている方が多いかもしれませんが、本当はちょっと違います。(口語としては、つい同じ意味に使ってしまいがちですが、、、)

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NPO(Nonーprofit Organization)とは、非営利組織という意味です。つまり「営利組織に非ず」という意味ですので、いわゆる「B営利組織」ではないすべての組織が含まれます。「B営利組織」とは、株式会社、合同会社、などですが、これについては、【その2】で詳しく解説しているのでぜひ読んでいただければと思います。

上図のように、例えば、社団法人、自治会、なんちゃら実行委員会など、とにかく営利を目的としていないあらゆる組織がここに属します。学校の部活やサークル、学校自体もひとつの非営利組織です。私立の大学も実は「非営利組織」なんですよ。

逆に、営利組織は?と聞かれると、先述した株式会社、合同会社、のほか有限会社(2006年に新規設立廃止)、合弁会社などが挙げられますが、意外と限られており、世の中のほとんどの組織は「N非営利組織(NPO)」と言って良いと思います。

それなのに、「非営利って何?」という質問が多く飛び交うのは、「B営利組織」があまりにメジャーになりすぎて、そちらの常識が日本社会の常識になってしまっているのだと思います。

それで、もうおわかりかと思いますが、「NPO法人」とは、NPOの中のひとつの種類です。

「NPO」のうち、1998年に施行された「特定非営利活動促進法」によって定められた法人格を取得した組織を「特定非営利活動法人」といい。この法人格の通称が「NPO法人」です。

ぼくが、お話している「N起業(非営利型起業)」において、この法人格を取るか取らないかは、どちらでもよいと思っています。法人格を取らなくても、NPOであることは名乗ってもよいですし(NPO法人と名乗ることはできません)、非営利型の組織であるという組織のルール(規約)をつくって活動を始めればよいと思っています。

つまり、組織の形態はなんでも良いのです。そこにこだわるのではなく、「やりたい!」と思える事業をどれだけお気軽に始められるかということが重要です!そして、その事業を継続していく手段(【その3】参考)として、収入を確保する工夫は必要です。

このとき!収入を確保することが目的になってしまうと、そこから先は「B営利組織」の仲間入りです。

ぼくが、声を大にして言いたいのは、本来の目的を見失なわない範囲で、「NPOはもっともっと儲けましょう!」ということです。儲けることは悪ではありません。自分や組織の構成メンバーが気持ちよく事業を継続していくために必要な手段なのです。

市民活動団体を始めとするNPOの多くは、儲けるということに罪悪感を持っていたり、収入を得るとしても、会場費や広報費などの必要な経費分(自分たちの人件費を除く)を確保することぐらいまでを目標にしていたりすることが多く、行政や一般市民も、そういうもんだと思ってしまっています。

単発の事業ならともかく、継続的に何年も行っていくような事業を、このようなスタイルで続けられるはずがありません。

あらゆるNPOがしっかりとした収入を確保し、給与やボーナスも支払える組織になっていくことが、社会の次のステージに必要不可欠に思えてなりません。

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