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M→Fes2022 OP「Re:BOOT feat.KAFU & Millial」解説記事

KALTEです。曲を作ってます。

今回は2022年12月24日に開催された映像上映イベント「M→Fes2022」のOP楽曲「Re:BOOT feat.KAFU & Millial」についての記事です。

映像はM→Fes統括のさんです。



「2024年なのに、何で今更2022年のイベントの話するんだ、せめて2023年の振り返りをしろ」という声が聞こえてきそうですが、そんなの知ったことではありません。振り返りたいときに振り返るんだよ。



この記事を書く理由

昔から楽曲解説記事みたいなのは書きたいなと思っていて、今回は個人的に一番思い入れがある楽曲としてこれを取り上げました。

以前の記事でも書いたんですが、やっぱり自分の心の中で思っていることの言語化って大事だなと最近思っているんです。映像担当の方との擦り合わせをするために構想メモとかは勿論しているんですが、あくまでメモなので文としては不十分です。ほぼ脳内直想。

今後も創作をするにあたって言語化を意識した際、やっぱり人に見せるという使命感がないとメモ書きレベルに留まってしまうので、noteに書きます。


構想

「M→Fes」は、私の所属するサークルが毎年12月に開催している映像上映イベントです。私は2019年からこのサークルに協力しているのですが、2020年と2021年はコロナ禍によってオンライン開催を余儀なくされました。


3年ぶりの対面開催となった2022年、会場は大崎、横幅20mのLEDパネルを保有するTUNNEL TOKYOという場所です。2019年もこちらをお借りしていました。

サークル内会議において、2022年のテーマは「REBOOT.(再起動)」に決まりました。私が発案したものがそのまま採用されました。

アニメや映画における「リブート」は一般的に初期設定を全て刷新して新たな作品として作り変えることを指しますが、ここでの「REBOOT」はコロナ禍を抜けて、3年前の興奮を観客の方々に再び取り戻してもらうという意味です。それで私が3年前、M→Fesに初参戦した際のことを思い出した際、イベントの開幕シーンが真っ先に浮かびました。


M→Fes2XXX Opening (Cutup) / Video : genkofcam / Audio : MisomyL


こちらは2019年のイベント「M→Fes2XXX」のOP映像です(フルではありません)。この映像でも要素が散見されますが、当時配布されていたパンフレットにはこんなイントロダクションメッセージが書かれています。


我々は2XXX年よりやってきた、次世代の映像制作を牽引する候補者養成機関、通称「M→Fes」です。2019年、例年の会場であった中野キャンパスホールが確保ならず、M→Fes2019は事実上の未開催となります。そこで私たちは、Adobe After Effect CC 2XXXに搭載された「タイムコード(Timecode)」を応用し、タイムマシンを開発。2019年のM→Fesを開催させるべく、私たちは2019年へと向かいました。本日、新たなステージにてM→Fes2019の開催が確約されましたことをご報告させていただきます。

映像を愛する皆様、これが次世代のM→Fesです。

初めて映像制作・映像出展を行う皆様、成長したあなた達を、未来でお待ちしております。

2XXX-12-14-03:15

M→Fes2XXX パンフレット イントロダクション


まとめると、2XXX年の候補者養成機関がタイムマシンを使って2019年にやってきて、TUNNEL TOKYOを会場として確保し、2019年度のM→Fes開催を完成させた、というのが当時の世界観です。2019年以前は中野を拠点としていたのですが、この年から新たに大崎に移したということです。


2022年の楽曲には「タイムマシン」と「拠点」の要素を取り入れました。

「拠点」は最初のポエトリーリーディングパートで言及しています。2019年当時は大崎で開催し、翌年以降もここでの開催を継続する予定でしたが、コロナ禍によりその願いは叶わなくなりました。2022年に対面開催ができるようになったことで、私たちは3年ぶりにこの場所に帰ってきた、ということをメッセージとしてダイレクトに残しています。

これが前半のポエトリーリーディング(ナレーション)の歌詞です。

本日はM→Fes2022にお越しいただき、ありがとうございます。
3年前、M→Fes2XXXの後、未曽有の危機が我々を襲い、
この拠点を奪われてしまいました。

しかし2022年、我々はついにこの場所を取り戻しました。
ここに、新たに生まれ変わったM→Fesの開催を宣言します。

その名は、REBOOT。

【M→Fes2022】Re:BOOT feat. KAFU & Millial / KALTE

「タイムマシン」の方は通信の効果音、逆再生させたホワイトノイズなどで表しつつ、映像でもそれっぽいものを表現していただいてます。また、映像担当の旗さんと話し合って、この3年間の変遷を映像と音楽両方で表現しようという話になりました。

最初、楽曲構成の段階で2020年と2021年を表すパートは、コロナ禍だったこともあり、もう少し静かな雰囲気にするつもりでした。が、2022年に新しくサークルに入った旗さん視点では、「暗いイメージは持っていない、むしろ当時のM→Fesを観てこの場所に来た」というお話を伺い、最終的にはBuildupパートとして構成に取り入れることにしました。対面開催という「希望」へと突き進んでいくイメージです。


当時のパンフレットをパンフレットを持っている方は勿論、2020年に要素として取り入れていた「ぴえん」、2021年の「ネオン」も映像から感じさせてくれています。


プラグイン

一部抜粋して掲載。

  • Vocal

    • KAFU / CeVIO AI

    • Millial / CoeFont

  • Synthesizer

    • Xfer- Serum

    • fellusive - Nettle

    • Lennar Digital - Sylenth1

    • YMCK - Magical 8bit Plug

  • Piano

    • Native Instruments - The Grandeur

  • FX

    • Xfer - OTT

    • Native Instruments - Raum

    • Nicky Romero - kickstarts 2

    • Polyverse Music - Wider

    • Valhalla VSP - ValhallaSuperMassive

    • Blue Cat Audio - Blue Cat's Gain 3

    • Amburn Sounds - Graillion 2

    • MeldaProduction - MVibrato

    • iZotope - Vinyl

    • iZotope - Nectar 4 Advanced

    • iZotope - Ozone 11 Advanced


殆どSerumで完結させているせいか、数はかなり少ないです。

特段珍しいものは使っていませんが、Nettleは知らない人多いかも。Pad系統のシンセサイザーで、Aパートでレイヤー的に鳴らしてます。本来はもう少しエモい感じの曲に使うのかなと思うのですが、ちょっと変わったことに挑戦してみたくなったため、起用しました。ちなみに無料です。


あとは今回、初めて「ダッキング」という手法を採用しました。特定の楽器音を目立たせるために、他の楽器の音量を瞬間的に絞るテクニックです。今回はサビの部分でBass Kickを目立たせるため、Nicky Romero氏のkickstarts 2を用いて1拍ごとにそれ以外の音が瞬間的に押さえ込まれるようにしています。ダッキングについて詳しく知りたい方は、下記のLOBOTIXさんの動画が参考になると思います(使ってるプラグインは別のだけど)。



リファレンス集

以下、敬略称。
M→Fes 2XXXのOPも一応リファレンスです。


愛と幽世の終着点 - 藍月なくる

前半のポエトリーリーディングパートのリファレンス。普段から特殊なFXを採用した楽曲制作は好んでしますが、こういう警報音を活かしたギミックがイベントの冒頭に流れたら最高だろうなと思ってやってみました。インストはFeryquitousさんです。


1619kHz - Chouchou

ポエトリーリーディングの楽曲は今時珍しくありませんが、それでもこの楽曲の異質さは今でも私の中で燦然と輝いています。直接リファレンスにしたわけではありませんが、「よし、最初はナレーションにしよう!」という発想になったのはこの楽曲が脳裏にこびり付いていたからかも知れません。


雪降り、メリクリ Feat.Miku - A39

Buildupおよびその後のJ-Coreパートのリファレンス。Buildup前と後で曲の雰囲気が全然違う!みたいなことは一回やってみたかった。ゴリゴリに声ネタやワブルベースが鳴っているのにちゃんとクリスマスソングっぽいのすごいな~っていつも思ってる。


万戈イム-一ノ十 - LindaAI.CUE

OP楽曲のサビに裏旋律として際立っているシンセは、この楽曲の前半に鳴っている笛からインスピレーションを得ました。非常に不気味な笛の旋律ですが、メロディライン次第でメインのLead Synthが終わった後の余韻を出せそうだなと思って、CelticとHardcoreの中央値みたいなSynthを採用しました。


麻布アウトバーン(Prod. ケンモチヒデフミ) - 黒鉄たま

楽曲構成の際、参考にしました。M→FesのOP映像は例年、出展者の方々の紹介パートを入れるようにしているので、ボーカルとインストのゾーニングでそこの区別をつけています。AパートやBパートでボーカル入っているのにサビでインストになる楽曲って作るのにそこそこ勇気いるので、その後押しをしてもらいました。アザブはいいぞ。



今後も関わるかは今のところ不明ですが、もし2024年度のM→Fesが開催されたら、そのときはよろしくお願いします。

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