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2023年に影響を受けた音楽作品

KALTEです。2年ぶりのnote更新。

2023年1月~12月の間に公開された楽曲の中で、私が影響を受けた作品をひたすら並べるだけの記事です。

この記事を執筆した理由として、音楽の良さの言語化があります。それによって自分の作曲に上手く取り入れていく狙いもありますし、音楽の良さを文字情報として発信していくことで、作曲に明るくない方々にも新しい視点で世の中の音楽を楽しんでもらいたいという願いもあります。実際のところは対外向けに書かないとちゃんとした言語化をしないからnoteに残してる、というのが本音ですが、もし皆さんが音楽を聴く際に何かしらの変化があれば幸いです。

今年は『アークナイツ』や『原神』など海外のゲームをひたすらやっていたこともあり、海外アーティストの作品に触れる機会が格段に増えました。特にこの2つは様々な国のアーティストが楽曲を担当しているので多様性の宝庫です。今までに触れたことのないジャンルに触れて、聴取者としての音楽の世界、トラックメーカーとしての音楽の世界が広がったように感じます。

以下、YouTubeにて公開された順に紹介していきます(全12曲、敬略称)。



BLUE GIANT / 上原ひろみ(2023.2.16)

石塚真一氏によるジャズがテーマの漫画『BLUE GIANT』が今年の冒頭に映画化されましたが、それのED楽曲です。主人公が非常に暑苦しい性格で、この楽曲ではその燃え滾る魂を「青い炎」として表現しているらしいです。落ち着いた曲調の中でも、静かにメラメラと燃える炎の情景が目に浮かんできます。OSTには「N.E.W」「First Note」など盛り上がる雰囲気の楽曲が多い中、こういった曲調でもその色を表現できるところが、私が上原ひろみさんを尊敬する所以です。


Operation Basepoint / Life Awaits(2023.3.22)

Hypergryphのタワーディフェンスゲーム『アークナイツ』にて実施されたイベント「危機契約#12」のテーマ楽曲。最後の危機契約で、最終回に相応しいバチバチに攻めた内容になってます。ディストーションのかかったエレキギターがイベントの過酷さを表現する一方、落ち着いた部分でも、一触即発の睨み合いが続いてそうな雰囲気が出ています。メタルって人を選ぶ音楽ジャンルだと思うんですが、Life Awaitsのおかげでメタルに対してかっこいいという認識を持つことができました。PV版はこちら


Wildfire / HOYO-MiX & Jonathan Steingard(2023.5.2)

HoYoverseのRPGゲーム『崩壊:スターレイル』のカカリア戦BGM。ゲーム内でこれを聴く場合、最初はインスト版で始まり、ボスが初回に大技を放つ際にサビに移行してボーカルが入るという、インタラクティブミュージックじみた仕掛けがあります。主人公がボス戦に入る直前に炎属性を獲得しますが、これも序盤の静かなパートが大雪の中でパチパチと音を鳴らす炎のように解釈できそうです。インスト版だとアコギの生音チックな弾弦音がハッキリ聴こえて綺麗なのでこっちもおすすめ。


Acceptance / Wisp X(2023.6.8)

最近知ったアーティストさん。16分という長丁場の中、絵のような幻想的な雰囲気のパートとゴリゴリのProgressive Tranceパートが交互に繰り返されてます。楽曲の長さもですが、急にワブルベースが鳴りだしたときは面喰いました。7:36辺りから2小節おきに置かれてるFXがここら辺のパートに締まりを出していて飽きさせないなと感じます。古のRPGを彷彿とさせるbrightなリードシンセも印象的です。


Luminescence / Chiru-san(2023.7.16)

私は1:25の音でこの曲に恋をしました。最初のパートでゆったりと運ぶような雰囲気かと思いきや、0:56で突然緩急強めのワブルベースが入り、聴者を一気にこの楽曲の世界に引き摺り込んできます。私はこの曲を聴くとき、3:18のおかわりを心待ちにして聴いてます。Chiru-sanさん本人が自身の楽曲をまとめた動画を公開しており、最近はずっとこれを作業用に流しています。


Responsibility / Nor(2023.7.24)

今年一番影響を受けた作品です。Nexon Gamesのゲーム『ブルーアーカイブ』の最終章のとある場面で1度だけ流れる曲です。ネタバレになるので詳しくは言えませんが、『ブルアカ』が基調とするFuture Popなシンセに、共存が難しい「別れの儚さ」と「安堵感」という2つの感情を上手く乗せていて、ユーザーのもつ情緒が複雑になる「あの場面」にハマった楽曲になっています。ゲームのサウンドクリエイターってその場面の最適解になる音楽を作らなきゃいけないと思うんですけど、今まで聴いてきた中で一番ストーリーとの解釈が一致したゲームサウンドでした。タイトルがド直球。


人マニア / 原口沙輔(2023.8.8)

大バズりした例の楽曲。聴きなじみのある効果音が目の前を高速で通り抜けていく感じが最高にエンタメしてます。最初は苦笑いしながら聴いていましたが、何回も聴いてるとパン振りだったり音圧差だったりにも工夫を感じられて、そういったところにもこの楽曲の面白さを増幅させている要素が潜在的にあるのかなと思いました。重音テトの知名度が上がって嬉しいです。


サヨナラ交信 / 豆腐メンタル.inc P feat. 初音ミク(2023.8.10)

映像作家のあげはさんが、私の所属するサークルが運営する映像イベントにこの作品を出展してくださり、その際に初めて聴いた楽曲です。中音域のシンセが出すサウンドの厚み、しつこさのない調声、全ての音色が螺旋構造のように美しく絡み合っています。インストパートの温かみあるギターが、複雑なリズムのメロディーを刻まずシンプルな8分音符で構成されており、幻想的な銀河の中をただ漂流する光景を想起させてくれました。こういうボカロだと、けーだっしゅさんの楽曲を昔よく聴いてたなと思い出したりするんですが、影響受けてるんでしょうか。


さざ波 / HOYO-MiX & Cécilia Cara(2023.11.13)

HoYoverseのオープンワールドゲーム『原神』にて、フリーナ伝説任務の終盤に流れる楽曲です。グランドピアノにおいて、右側のペダルを踏むと音が長く響くようになりますが、左側を踏むとこの楽曲の0:22から流れるようなソフトな音色になります。英語だと「Una Corda」と呼ばれる手法ですね。右側に比べて左側のペダルはあまり使われないのですが、フォンテーヌの楽曲にはこのソフトペダルを利用したものがこの他にもいくつかあります。StringsもSustainやStaccatoなど数多くの演奏法が取り入れられており、それに応じて歌劇の内容が川の流れに身を任せるかのように移り変わっていきます(ゲーム内ムービー参照)。「神女劈観」もそうだったけど、本場のボーカリストが歌う楽曲はその国、その文化の本物を感じられて良い。


カラー / necchi(2023.11.29)

これも映像作家さん経由で知った作品です。リリース短めのピアノとアコギが締まりある現代風のインストに仕立てており、そこに高めのStringsでリッチ感が付与されています。ボーカルはAメロで低めに歌った後、サビでワンステージ上がった音高で盛り上げてくれており、メロディの構成的にサビの綺麗な裏声が印象に残りやすいです。ボーカルのnecchiさん、しゃくりやこぶしが効いていたり、地声と裏声の使い分けが滅茶苦茶上手いなと思ってたんですが、どうにもこの方、音楽と作詞も兼ねてるみたいなんですよね…。。。


メタモルフォシス / Zekk(2023.12.7)

『電音部プロジェクト』でこの間リリースされたものです。最初は綺麗なTechno Balladeと思わせつつ、ビルドアップから音ゲーチックなHardcoreを持ってきて、最後にハイスピのJ-Core突入。曲構成で完全にこちらの心を支配しに来てます。2:31からのビルドアップで「この後絶対J-Coreになる流れじゃん!!」という期待感が高まりますし、前半がハーフテンポで進むだけに、ラストのBPM200の疾走感がえげつないです。最初に一瞬J-Coreの片鱗をチラ見せするところ、2:01で最初のTropicalな雰囲気に戻すところ、J-Coreパートの唸るリードシンセなど、好きな要素がこの楽曲には多すぎて語り切れません。


liberate / somunia feat.nyankobrq(2023.12.14)

CHUNITHMにsomuniaさんの曲がリリースされると発表されたときから心待ちにしてました。静かな曲調の多いnyankobrqさんがどういう風に音ゲーチックな楽曲に落とし込むのかなと思いましたが、疾走感とポップっぽさとのバランスの匙加減が絶妙だと感じました。ちょくちょく入るドラムループの末尾がリリース切り気味なのが良い味出してます。まだゲームの方で楽曲開放できてないので、これを譜面製作者がどういうふうに調理しているか見るのが楽しみです。



来年もいい曲に出会えますように。


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