映画『シャンカラーバラナム不滅のメロディ

2023年6月、信じられないくらい映画館で観られるインド映画がたくさんある状態になっています。
ずっと前から観たいのにタイミングを逃していた『シャンカラーバルナム』を観てきました。

カルナータカ音楽(南インド古典音楽)のエッセンスにどっぷり浸かった作品。クチプリ(アーンドラプラデシュの古典舞踊)をベースにした踊りも良い。
若い男女の異様なまでの恥じらいっぷりとか、身分差別とか、古典に対するプライドとか、師匠への敬愛とか、ヒンドゥー寺院とか、もう本当に伝統・古典の世界感全開です。

シャンカラーバラナムというのは、カルナータカ音楽のラーガ(旋律)の種類の一つ。私は残念ながらカルナータカ音楽の素養がないのでラーガの違いを聞き分けることができないのですが、わかったらもっと楽しめたかな…。
浅〜い知識で言うと、サリガマパダニサ(インド音楽のドレミファソラシド)が、上り調子の時と下り調子のときで、使う音階、半音上げとか下げとかの規則があって、その規則のパターンによって旋律に名前がつけられています。
作中、女の子が音程を間違えて、「ヒンドラン(これもラーガの名前)とxx(名前忘れた)を混ぜるな!」と師匠に怒られるシーンなどがありました。
インドでは、イントロクイズよろしく「ラーガ当てクイズ」のテレビ番組があったらしく、何十だか何百だかのラーガを瞬時に当てられる天才少女がいた、なんて話もあったと思います。

そのラーガ→音楽→神への信仰に魂と命を捧げた=バクティ(献身的信愛)の物語でした。1980年公開作品のデジタルリマスターということで、画質は荒いものの、不朽のテーマを扱った名作。
こういう作品を見るたびに、高潔な人生を送りたいものだ…(無理よね…)と思います。

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