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【秋にこそ】おいちょっとこのアイドルソングの歌詞が最高だから紹介させてくれ!! ~僕が最強アイドルソングを作れるようになるまで~

どうも、ライター「松田クール」です。

突然ですが、アイドルってどう思います?
当たり前だけど、好きって人もそうでもないって人も色々いるじゃないですか。
なんか男でも女でもアイドルにハマりやすい人とそうでもない人の温度差がでかい。熱量が全くちがうというか……。

僕はアイドル大好き人間なんで、正直ハマらない人たちの気持ちが全然わからない。
え、なんで? 歌ったり踊ったりお芝居したりするのを見て、なんかもう全身からパワーがみなぎりません? 俺だけですか?
逆に、好きじゃない人からしたら、そんな遠い世界の人に対してなんで熱くなってんの?って感じなのかもしれないです。よくわからんけど。

さて、ここからが本題です。
僕は、今作ってるゲームでアイドルソングの歌詞を書かせてもらうことになりました。
そこで改めて大好きなアイドル達の曲をたくさん聞いて勉強しているのだけど、気づいたのが、やはりアイドルソングは歌詞が最高なものが多いこと多いこと。

そして、これもしかしてアイドル好きじゃない人たちは魅力に気づいてないんじゃねーの? 色眼鏡で敬遠されてんじゃねーの? と思って、アイドルソングの歌詞の素晴らしさを絶対紹介したいので、僕の主観100%で紹介します。
では行きます!

◆らぶ地球 feat.ファーストサマーウイカ/豆柴の大群
作詞:クロちゃん

今回紹介するのは、安田大サーカス/クロちゃんプロデュースの豆柴の大群の楽曲。曲ができた背景とかその辺りはスキップするが、一番何が伝えたいかと言うと、クロちゃんなめないほうが良い。
恥ずかしながら、正直このグループのメンバーにも興味なかったし、番組の企画で誕生した色物アイドルだと見くびって最近まで曲も聞かないでいた。
しかし、聞いてみて驚いた。マジで良い。クロちゃんの書く歌詞すごい。ほんと謝罪申し上げたい。ごめんなさい。よく調べたらヒャダインとかゲス極・川谷絵音も褒めているらしく、その才能は折り紙付きだ。
というわけで、歌詞を切り取りながらその魅力を見ていこう。可能ならば、事前にぜひYou Tubeとかで曲を聞いてから読んでほしい。
 
産業革命 産声ランラランラーン
    賞味期限なんてないんだもんモモン

この入りで始まる。もう早速意味わからない。世界観おかしい。しかし、引き込まれる。
曲のタイトルでもある「地球」というテーマに対し、「産業革命」が連動するのか? まだわからない。産声?
そして「賞味期限」って何? これもまだわからない。でも多分意味はない。きっとない。語呂が良いだけだ。
しかし散々わからないと言ったが、僕のような人間はまさにこれこれ~!ってなってしょっぱなから期待が高まっちゃっているのだ。
それはなぜか?
意味を知ってるはずの言葉たちが、このように自分の全く理解できない世界を構成する要素として存在している、それがいいのだ。
よって、曲のつかみとしてはサイコーすぎるといえる。
……ちょっとよくわからない、ついていけない、という人も待ってほしい。「わからないもの」を「わからないものとして」そのまま飲み込んでほしいのだ。
アイドルソングは理解の先にあることが多い。先を行こう。

    嘘つく気持ちにサンバイザーをつけて
    納得いかない答えを塗りつぶして

Aメロ。「嘘つく」という言葉の後ろめたさと、「納得いかない答え」という少しふてくされた感情が同居している。
 このパートからなんとなく人間っぽさが出てきた(人は気持ちにサンバイザーつけないけど)。
 とりわけサンバイザーという小道具がすごく良い。きっと「隠す」という意味を、蓋でもない、布でもない、ただの帽子でもない、サンバイザーに与えている。
僕は、チャリ漕いでるオバちゃんがつけているような、ちょっと透けたサングラスみたいな素材のサンバイザーを想像した。
後ろめたさが透けて見えて隠せていない……。絶妙な比喩じゃないか!
 この部分をセリフに変換すると、「私も悪かったけどさぁ、……でもしょうがないじゃん!」みたいな開き直りのニュアンスになるのだろうか?

    とんでもない未来にとんでみたいなー
    (パンチラインの代わりにパンティーライン)
    見たこと無いんだからヤバいの想像してやろう

 続いてBメロ。ほとんどダジャレなんだけど、最後の一節で急激に納得させられてしまった。そりゃ、見たこと無いんだからヤバい未来想像したって良いよな……。なにそれ、いいじゃん……。
 未来を想像するということは、なにか後ろめたいことがあって、現実逃避しているのだろうか。しかし、現実逃避と言ってもただのネガティブオンリーではない、野心に近い欲望の強さが、「見たこと~」の一節から伺える。
お気付きの通り、この時点でもう完全に虜になっている。

    愛してやまないジ・アース
    シャイニングど根性
    全て正しいことを選ばなくていいんだよ

 ここがサビ。また意味分かんないが、「全て正しいことを選ばなくていいんだよ」があまりにパンチライン過ぎて衝撃的。さっきまで主観的だった歌詞が、ここで急に神視点に切り替わるというか、学校の先生に優しく諭されてる感じになる。
ここでも最後にいきなりまともなことを言われてとハッとさせられるが、これがクロちゃんなりの背中の押し方なのだろうか。
失敗してもいいじゃない、にんげんだもの。拡大解釈し過ぎかもしれないが、そんなメッセージにも取れる。
割愛するがこの曲には2番以降にも「頭を下げても胸張っていきましょう」や、「見て見ぬ振り怖いなら 消したっていいしん」など、どこか前向きな?ワードがちらほら散見される。
ただ、これはただの「前向き」と言うよりも、「マイナスをチャラに」といったニュアンスのように思える。この考え方は、少し世間のクロちゃんのイメージと合致する部分だと思う。

 ここまで来て意味不明な世界がほんの少しだけ繋がって見えて、クロちゃんが「らぶ地球」というタイトルに込めたテーマもわかってきた気がする。
前向き、でもそれだけじゃないよね、実際。地球はすべて受け入れてくれるよ? らぶ、的な。
「そのままでいいんだよ」。これがすなわちクロちゃんによるアイドルソングのメッセージなのだろう。

……しかしここまで言ってなんだが、そんな安易な言い換えや理解は無粋だと言わんばかりに、この曲の地平線は不定形だ。この手応えのなさ、砂漠で見たオアシスもこんな感じなのだろうか。

私事だが、学生時代のゼミの担当教授が詩人だった。その人の言葉でとても印象に残っているものがある。
それは、三題噺(3つお題を与えられ、それに沿って話を作るアレ)で小説を書く課題を与えられたときの言葉だ。
「与えられたその言葉の意味から、どこまで遠くへ行けるかが大事なのよ」
 クロちゃんはこの楽曲でまさに「遠くへ行っている」。
前後の文脈とか、その言葉自体の意味とか本当はどうでもいい。形に拘らずどこまでも自由に。こわばった脳がジェットコースターのように激しく揺さぶられ、ストレッチされる感覚。
何もわからない、そもそも何の意味も持たないのかもしれない。だが、それがいい。それがこの楽曲の魅力だ。

最後に批判を恐れずあえて言うけど、豆柴の大群はクロちゃんが作詞した以外の曲微妙。なんか小さく綺麗にまとまっててマジつまらない。コンパクトなBISHというか……。


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