見出し画像

年末調整、扶養親族がシルバー人材センターで働いて得た収入はどうなるの?【年末調整/扶養控除等(異動)申告書】

こんにちは、ナカハラミヤコです。
今日は、「年末調整、扶養親族がシルバー人材センターで働いて得た収入はどうなるの?」という質問についてお答えしたいと思います。

1.シルバー人材センターとは

  シルバー人材センターは、民法上の公益社団法人で「高齢者等の雇用の安定等に関する法律」により位置付けられた国の補助団体になります。

 地域における高齢者にふさわしい臨時的かつ短期な、軽易な仕事を請負・委任により引き受け、就業機会として提供しているものなので、シルバー人材センターの会員とシルバー人材センターの間にも会員と発注者の間にも雇用関係はありません。
 従って、シルバー人材センターで働いて得た収入は、「給与所得」にはなりません。シルバー人材センターの会員が得た収入を「配分金」といい、この配分金収入は所得税法上「その他の雑所得」に区分されます。

2.扶養控除等(異動)申告書への記入について

  所得税法上の控除対象扶養親族が、シルバー人材センターで働いていて得た収入については扶養控除等(異動)申告書にどのように記載すればいいのでしょうか

 雑所得の金額は、原則として雑所得の収入金額から必要経費(交通費、材料費等)を控除した額となります。

~計算方法~
① 必要経費が55万円以上ある場合
  ➡ 必要経費を全額控除できます。

② 必要経費が55万円未満の場合
  ➡ 55万円を上限に配分金収入から控除できます。

③ 公的年金を受給している場合
  ➡ 配分金収入とは別に公的年金等控除を行えます。

④ 給与収入がある場合
  ➡ 最低55万円(収入金額を限度とする)の給与所得控除が受けられ
    ますが、その場合、配分金収入にかかる控除額は、55万円から給
    与所得を控除した残高が限度です。

例①)必要経費が55万円以上の場合

配分金収入100万円、必要経費80万円の場合
                 ➡ 「所得の見積額」欄は、20万円
配分金収入100万円-必要経費80万円=20万円


例②)必要経費が55万円未満の場合

配分金収入55万円、必要経費10万円未満の場合
                 ➡ 「所得の見積額」欄は0円
配分金収入55万円-必要経費55万円=0(収入金額を限度とします)

実際にかかった経費の額が55万円未満のときであっても、所得金額の計算上必要経費が55万円まで認められます。

出典:国税庁HP NO.1810 家内労働者等の必要経費の特例

※シルバー人材センター以外に仕事をしており、給与収入が55万円以上ある場合は、この特例は受けられません。

例③)公的年金を受給している場合

配分金収入80万円、必要経費5万円、公的年金150万円(68歳)の場合               ➡ 「所得の見積額」欄は、65万円
                  この場合は、合計所得が48万円を
                  超えるため、控除対象扶養親族から
                  外れます。

配分金収入80万円-必要経費55万円=25万円
(※家内労働者等の特例が適用され必要経費55万円控除できます)
年金収入150万円-公的年金等控除額110万円=40万円
25万円+40万円=65万円

例④)給与収入がある場合

給与収入40万円、配分金収入40万円、必要経費10万円の場合
                 ➡「所得の見積額」欄は25万円

給与収入40万円-給与所得控除40万円=0
配分金収入40万円ー必要経費(55万円ー40万円)=25万円
※配分金収入にかかる必要経費は、55万円から給与分として差し引いた必要経費40万円の残額15万円が控除限度額です。


~参考記事~

~まとめ~

シルバー人材センターから支払われる報酬は、「その他雑所得」となり所得の計算が複雑です。

年齢的に老齢年金を受給されている方が殆どだと思いますが、それぞれに所得の計算をする必要があり、余計にややこしくなります。

計算が分からない人は、「扶養控除等(異動)申告書」の「所得の見積額」欄に「シルバー人材センター配分金収入〇〇円」「老齢年金収入〇〇円」と記載し、労務担当者に相談することをお勧めします。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?