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森と自然と林業とワタシ

『森を守るとかって言い方オカシクない?』

突然ちょっと乱暴な言い方ですみません。
これは長年、”私がワタシに向けて”吐いていた言葉です。

『人間が居なければ、地球は自らの自浄作用で元に戻っていく。なのに人間が自然を守ろうとか森を守ろうとか言うのって大きな勘違い過ぎて恥ずかしくない?』

人間以外の動物と植物と鉱物だけであれば地球はこんなにも短期間で急激に環境を変える事はなかった筈。
現に今、人間が絶滅したら地球は数百年で元の姿に戻ると言われている。
それなのに人間が『森を守る』だとか『自然を守ろう』とかってそもそもの所で間違ってる。そんな風に考えていました。

物を作るという事は常に環境に負担をかけることと直結する。

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海辺に育った私は子供の頃から美しい海にこんな風にゴミが浮かぶ悲しい光景を目にして育った為、プロダクツ開発のコンサルティング仕事ではゴミが出ないように全ての部材をゴミにしないような(とっておきたくなるような)素材を使って製品にしてきました。その結果、日常では中々手が出せないような非常な高級品に。

今回は、日常的に手に取れるような生活雑貨を作る計画なのでゴミが出ることは間違いない…。さて、どうするか...。

自社製製品を作ると決めてからこちら葛藤に続く葛藤。
堂々巡りの悩みの渦に翻弄されていました。


そして、先日のこと。
私の悩みとは別に、銀行の融資が下りたので、林業に携わる会社に協力していただき自社製品開発が始まりました。

導入した機材で初めての蒸留を終えて現場から宿に向かう途中の車内でのこと。
外の田園風景を眺めながらブランディングとかマーケティングのことを考えていたのですが、いつもぶつかる”人間の生活が自然の営みを邪魔している”と言う所で中々良い案が浮かんでこない。これが請負仕事であれば手綱加減はまた別なのですが、当社でやるからには極々のところを厳しく攻めていきたい。

しかし、これだけ長年自問自答していても出ない問題の答えは人に話して整理しようと、運転している私の森の先生にこの自己矛盾をどう思うか聞いてみた。

『私、森や海に負担をかけない製品開発がしたいのですがどこをどうやって切り取っても、”物を作る=環境破壊”に繋がってしまうんです。なので、今回こうやってプロダクツ開発をし始めたのにこれからどういう製品をどうやって作って、どうやって人に伝えたらいいかわからなくなってしまったのです。森を守るとかっておこがまし過ぎてそんなこと言えません。そんなこんなで今更ながらどうしたら良いかがこの後に及んで解らなくなってしまいました。』

このように森の先生S氏に正直に言ってしまったのです。このプロダクト開発事業の協力者でもある人に向かって。
するとS氏はこんな話しをしてくれました。

人間を特別視しないこと。
他の生き物とは違うというある種の傲慢さが、人を悩ませる。

『虫がね、樹に巣を作るじゃないですか。すると、樹は傷んでしまいます。でもね、森は虫を追い出さないでしょ? 虫が木に負担をかけてしまう事はあったとしても、森全体にとってその虫はそれ以上に恩恵を与えてくれているからです。だから純子さんのすることで少しだけ環境に負担をかけるかもしれないですが、もっと大きく広い視野で物事を考え、その仕事自体が自然の循環の一部になるような形にしていけば良いのです。人間を特別と考えるその類の傲慢さが人を悩ませるのです。
そして、自然にとって人は居ないよりも居たほうがいい。まず初めにそういうソリューションは必ずあると信じることが、生きることに繋がるわけです。「負担をかけない」から「使うほど良くなる」へのシフト。ここを考えて行きましょう。』

あ........。

そもそも、自分の考え自体もおこがましかった。
恥ずかしかった。解っていたつもりでまだ足りなかった。
でも、それと同時にすっかり弱った私の気持ちに陽が射すような助言でした。
その言葉で私は元気を取り戻し、また挑戦する勇気が出てきました。

そして、今回。
足らない活動資金を得るために、今回は初めて勇気を出して世間に助けを求めたら個人で資金提供をしてくれる方々が続々と集まってくれました。

人一人が一本の立ち木として考えたら、街は巨大な森。
私はまだその中で生きていけているのだから、まだこの世界での役目が、立つ瀬があるということだ。
完全に不安が払拭したわけではないけれどまた頑張れそうな気がしてきた。

巣から飛び立つ時の雛とか、発芽間際の芽とか
彼らももしかしたらこんな風に世界を恐々とそしてキラキラと眺めているのかも。

飛び出したら後は必死に羽ばたいたり、
脇目も振らずにお日様に向かって行くしかない。

私もしのごの言ってないでとっとと一歩を踏み出そう。
大切なことを忘れずに輪の中に飛び込もう。
飛び出した先にどんな風景が待っているのかは飛んでみないと解らないのだから。

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