狙って出来るものと狙っては出来ないもの
私は今までに数々の植物素材を中心とした商品開発を手掛けてきました。
その製品群の1/4は今まで市場に出回る製品として世の中に存在したことのないものではないかと思います。
しかし、不思議なことに現場にいるときにそれらを考えて材料を探したことは一度もないのです。
こんなことを思い出すきっかけになったのは私がお世話になっている森の責任者との会話が発端でした。
全くの異業種である経営者同士の会話
佐藤社長の投稿より
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QUSUYAMA の純子さん曰く、新しいものが生まれるときは、誰も予想しなかったような組み合わせの出会い/衝突がある。それは経験や理論のしっかりした計画下では起きにくいので、チームの中に遊び(あるいは余白)のようなものが必要、だと。 ※ここで言う「新しいもの」とは、忘れ去られようとしているものの再評価も含む 経営の目的は、利益(お金とは限らない)を持続することで社会の持続に貢献すること。環境は変わり続けることを前提にすれば、新しいもの(変化とも言い換えられる)を生み続けることは、持続のために欠かせないことになる。 クリエイティビティは必ずしも経営者に無くともよい。必要なのは余白を作れる意識と実行力。足元の事業がしっかりしていないとそれは続かないので、要はバランスになってくるのだろう。ひよこが育って、いずれ親離れをする時のことも想定しつつ… 成功体験に縛られるなどで柔軟性が無くなり、この余白を許容できなくなったとき、事業家や経営者は自ら退くか、マーケットから淘汰されるか、いずれかの道を歩むことになるのだろう。
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S社長は何年か前のSNSの投稿でこんなことを書かれていた。
彼の会社は林業事業体で、私の精油ブランドを主軸に化粧品原材料を扱ったりする会社とは日本では全く関係のない会社として認識されていました。当時日本では森林からの精油を作るのは林業従事者で外部の受け入れなどはあまり聞いたことはなく、国内で聞いたことがあるのは唯一、北海道のフプの森さんだけでした。
(フプの森@北海道下川町 https://fupunomori.net)
業界の常識が塗り替えられるとき
私が林業の世界を覗き込み始めた当時、あまり見かけなかった精油の生産ですが今やどこの県でも探せば必ずや一つ二つは精油生産に取り組んでいる林業事業体や市町村の取り組みを簡単に見つけることができます。
しかし、私が林業事業体と共に広葉樹を使用した森林美容と称して化粧品の開発を手掛け販売し始めてしばらくしたある日のこと。とある東北の林業事業体の若者からSNSを通じて連絡がありました。
彼から来た連絡は『どうやって林業事業体でそんなこと(化粧品の商品開発)をすることができたのでしょうか?』といった内容でした。
彼曰く”自分も新しい林産物の使用方法について特養林産物の新規分野を開拓してみたいのだけれど会社の上層部が絶対に許してくれない”と。
この出来事を社長の話から思い出した。
新しいニーズへの対応を求められる反面、既存の事業の継続の重要性は見落としてはならない所なのだが大抵の人は”どっちを取るか?”的な反応になってしまう。
事業体としては ”どっちも”これを実現することによって改革と事業の拡大につながるということなのではないでしょうか。
スイス在住の山脇氏はとある講演会で『時代が変わるということはニーズの変化』だと言っていた。
その時代の変化というものは明日からパッと変わるようなことはほぼなく、じわじわと塗り替えられていくものだ。
人の考えも生活もそれに伴うニーズもじわじわといつの間にかそうなってた。というようなものだ。
自分が明け方の青紫の世界で目覚め育ったからといって、世界はもう昼日中だというのにまだ青紫の世界の中で生きるための話をずっとしているとそういう人は時代遅れと言われてしまう。
ある意味商品開発の一番のヒントとは時代が変わる気配を感じ取れる力がどれだけあるかどうかを知っていれば、いいのかもしれない。
配送料とエコ観点とカスケード利用を足して割ったら出来た品々
時はエコ・ブーム。
エコがなんなのかと問いかけてもほとんどの人が答えられない世の中ではあるが、それでも世界は猫も杓子もエコブーム。
SDG’sって言わなくちゃいけないようなそんな風潮の時代。更に時はコロナの大騒ぎの時代の中で作ったのがこの森林浴の素だ。
エコのおかげでビニールは悪者。
コロナのおかげで人は大っぴらに外出できない。
更には私が蒸留所を作っている最中に戦争が始まり配送料とインフラは高騰に次ぐ高騰の一途。
どうしようかな。。。と思って消去法とニーズを推して考えたのがこの商品。
配送料はクリックポストで189円
ラベルも白黒(でも老眼にとても優しいフォントと行間でデザイナーさんが作ってくれたある程度のお金が自由になりある程度体が不自由にな李始めた初老に優しいパッケージ。)
林業事業体の中にあるから蒸留の熱源は薪火でガス代も電気代もガソリン代も0円。もしこれを輸入に頼る化石燃料やガスなどで作っていたとしたら今考えるととてもじゃないけどこの値段では出すことができない。
これ、出来てからしばらくしたら気が付かざるを得ない世界になった。
沢山あるもの(強み)を生かして弱み(大量生産できない)を消去したらこういう形で出来上がった。ということで当時はそんなに考え尽くしたわけじゃない。
こんな風にして狙って出来た物じゃないものだけどお気に入りの製品。
と、こんなふうに時としてお気に入りの製品が出来上がるのは狙ってない時の方が多いのです。
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