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物流2024年問題の考察②


前回、物流2024年問題に関することを書きましたが、今回は消費者としての目線と事業者としての目線にて書きたいと思います。

前回の記事

物流2024年問題を受け、消費者が考えるべきこととは

国内の総物量の中で宅配便が占める割合というのは相対的に少ないと前回の記事でお伝えしました。BtoB輸送が98%以上も占めているのです。
先日のデータについて↓

宅配便の物量が日本の総貨物量に占める割合は

 上述で21年度の宅配便取扱重量として推定した5844万8000トンという数字を、自動車と鉄道、船、航空機という輸送手段別輸送量の中に当てはめ、宅配便が日本の総貨物に占める分担率を輸送手段と比較したのが、下に示した表3のAである。

 天文学的数字に見えた5844万8000トンという宅配便取扱重量が日本の総貨物量に占める割合は、わずか1.4%に過ぎないのである。読者の中には、この1.4%という数字は小さすぎるのではないかと考える人が少なからずおられるであろう。

参照:WedgeONLINE 表3

コロナ禍がきっかけとなりECサイトで購入する機会は、きっとみなさんも増えたと思います。ECサイトを利用する方は年々増えているため、BtoB輸送が多いとはいいつつも、ECに関しても注文方法や受け取り方も気を遣うことこそは、私たち消費者が出来ることで、とても重要です。物流2024年問題の根幹部分ではないですが、間接的には状況の改善につながる施策でもあります。

昨今のECや配送の利便性

ここ4、5年でECや配送に関するシステムの進化は目を見張るものがあります。配送の利便性でいうと「送料無料」や「翌日配送」など当たり前になってきました。
Amazonや楽天、Yahooなど大手のECモール、そして最近だとQoo10などがあります。配送に関する情報が一般消費者へ認知拡大したきっかけとして、メルカリのようなCtoC(Customer to Customerの略で、個人と個人の間で行われるビジネスモデル)の功績も大きいと思います。

私たちの物流会社でも送ることができないネコポスの厚さ3cm規定も、メルカリでは送ることが出来るため、逆に「出来ないの?」とお客様にいわれて困ることすらあります(笑) (ネコポスの法人契約は2.5cmまでの規定)

私たちは単なるAmazonで注文して受け取るだけではなく、メルカリのようなプラットフォームを通じて購入者に送り出す発送手配をすることも増えました。(受け取り⇒手軽に発送も出来るように)

これらの活動を通して、私たちは以前と比較して配送に関する理解度も上がり、配送に関する知識が増えたことは素晴らしいことだと思っています。(知らない世界を知ることが出来る喜びってありますよね)

配送の一般知識のレベルを上げたメルカリ。メルカリ自体を一般消費者に多くの方に使ってもらったことが本当にすごいと思います。メルカリの話ばかりで恐縮ですが、配送に関するシステムは整いすぎていると思いませんか?

発送するための操作方法、伝票発行までの流れ、支払い方法、受け渡し方法、配送確認方法・・・操作方法を迷わずにさくさく進めることができます。これって便利過ぎてすごいなと思いつつ、カスタマーファーストというか本当に顧客の不便さを解消するように意識されているんだろうな感じます。

メルカリをはじめ、そのほかのAmazonなどのECモールなども含め各企業や事業者が消費者にとってより便利に快適に出来るようにと日々努力をし、サービスへ反映したことによって、私たち消費者は便利に本当に快適に過ごせているなと実感します。

ヤマト運輸、佐川急便、日本郵政なども配達スピードだけではなく、LINEと連携して配達時間の変更だったり、置き配であったりとシステム自体を改善して、更なる利便性を提供しているのは事実です。
※ヤマトの置き配サービスも展開されます
https://www.yamato-hd.co.jp/news/2024/newsrelease_20240408_1.html

ただ、こんなに便利になったことで逆に不安を覚えることもあります(笑)
当たり前の基準が高くなりちょっとした不便を許容しづらくなっているんではないだろうか・・・と。例えば、Amazonはこれが出来るのに、違うECサイトはこういうことが出来ないんだよね、、
といった具合で基準が高くなったなあと。

配送に関しても「配送無料」というのが当たり前になっていると感じます。消費者としても送料や商品など購入金額が安ければ、非常にうれしいことです。とってもありがたいのですが、その裏ではECのシステム⇒物流倉庫で働く方⇒配送一連の流れに人が必ず介在していて、その方々の日々の仕事があるからこそ利便性を享受できている一連のサービスだということを忘れてはなりません。

よくよく考えると色んな人が関わっているのに配送無料ってすごいですよね?
物流に関しては、インターネット技術やシステムの進歩、そして省人化するためのドローンやロボットなど開発は進んではいるものの、全自動化は難しいです。私たちも倉庫にオムニソーターと呼ばれる物流機器の導入をしていますが、ほんの一部の業務だけが最適化されているに過ぎません。
オムニソーターの動画のリンク

配送に関しては、前回の記事でも伝えたようにトラックドライバーの労働力不足が問題となっています。「トラックドライバーを完全ロボット化させる」計画といったことがない限り大幅な改善が難しいのではないかと思っています。
物流2024年問題の根幹にある背景は、働き方改革を通じて、日本の生産性を上げていこうという取り組みです。人手不足は、物流業界だけの課題ではなくて、それ以外の産業にも当てはまる社会課題です。

人手を増やすことが本質的な課題解決と捉えるのではなくて、少ない労働力でも成果が出る取り組みをすることが今後求められていくのではと私は考えています。

それって過剰サービスじゃない?!

本当に便利な世の中になったなと感じますが、一方で過剰サービスになっているかもしれないのでは?と一歩引いてみてみるのも面白いと思っています。
例えば、送料無料や配達スピードって元々求めていたことだったっけ?といったことです。

数多あるECサイトの中から選ばれるための差別化としてコストを安く見せる為に配送無料という訴求を出したり、
配達スピードはヤマトや佐川は事業者からの要望に応えるために早くしてきました。

送料無料や配達スピードに関してのことは、消費者がいつも求めていたかというとそこまで強く思っていたわけではないんじゃないかなと思っています。

今後は、少しずつ送料無料を提供する事業者が減ってくるのではないかと考えています。だって実際のリアルのお店で商品を買おうとしたときって、移動にも費用が掛かるじゃないですか。そういった事実を理解する消費者がこの問題を起点として理解していくはずです。

歩きや自転車でいけるような近場ならまだしも、電車賃やガソリン、移動する時間までのコストと考えると1,000円前後の送料がかかるとしても時間効率や利便性は非常に高いと思いませんか?

これは物流企業をやっているから納得して欲しいというわけではなく、何をするにもコストが掛かるけど無理して安くしてもらうのって気持ち良くないですよね?という感覚を共有したくて書きました。

またこういった感覚は、物流だけではなくって、私たちが沢山のことがらで利便性の追求をすることが自分たちや社会全体の幸福につながっているのか・・・どう思いますか?

最近は、タイパ(=タイムパフォーマンス)という言葉も良く聞くようになりました。二度手間を多くの人は嫌い、とにかく効率的にやっていこう。自分がやりたくないことはやらない・・・といった効率人間が増えてきたかもと思ったりしています。(もちろん私自身もそういう面があるので毒されています(笑))

このままいくと、気の知れた同士としか会話をしないし、気が乗らない時は、会わないし人と人とのコミュニケーションがどんどん少なくなるのでは・・・ちょっと飛躍しすぎましたかね(笑)
そんな関係性が薄くなるようなコミュニケーションは避けたいなと思っています。

少し脱線してしまいました!
物流2024年問題に関して弊社は何度かリサーチも行っており、その情報の一部を共有いたします。

先日当社が調査したリサーチ

物流2024年問題による心情

物流2024年問題といった社会課題を受け、ECを月1回以上利用されている方は、届く日数や価格が高くなることに関しては、仕方がないと思うという方が7割程度もいらっしゃいました。

商品価格の値上がりの受け入れ方

5%までの価格転嫁についても2人に1人が受容することがわかりました。価格が多少上がっても良いと考える人も多いですね。

到着日数の受容度について

3日以内であれば、遅延しても2人1人が受容することも結構寛容的な意見だなと

2つのアンケートを公開しましたが、結構意外な結果じゃないですか?寛容度が高いなと。
おそらくではありますが、物流2024年問題の背景を知ったために、何かをしないといけないと思った方も多かったと思います。

こうしてみると、私たちは少しでも大き目な社会課題に対して目を向けることは他者への思いやる気持ちを醸成するきっかけになるんじゃないかなと思っています。

EC事業者が出来ること

消費者のアンケート結果から、物流2024年問題といった社会課題を理解をし、ある程度寛容度が高い!を知ったからといって即刻売価を上げるは難しいと思います。

消費者であれば、同じようなカテゴリー、商品であれば単純に安い方を買いたくなりますよね?
なので、売価を上げれば、売れなくなるし、上げないと原価高騰するので利益が減ってしまうかもしれません。
ではそれではどのようにするべきなのか・・・

私なりに考えてみました。
それは、「購入者への向き合い方」かなと思います。

「顧客満足度の向上」のためには向き合い方が重要です。購入まで至ったお客様へは、物を届ける必要があり、その中でも十分に向き合えるのではないか?
コストや機能だけで、購入の意思決定をしているわけではなくてコミュニケーションでも大きく変わると思っています。

当社は、EC物流サービスをやっておりますが、「同梱物強化」の重要性を伝えておりました。

ECの購入までの流れって顔が見えないので、接客が出来ず、商品購入されてしまえばそれがゴールと考えてしまう方も多くいます。
確かに購入までハードルが高いし、重要な指標です。

ただ、ECに対して実際の店舗の場合は、来店時に接客し、購入まで至らなくてもコミュニケーションが取れ、良い接客であれば次回以降の来店・購入につながることも多くあります。(タイミングが合わなかっただけ)

つまり、ただ商品の購入だけではなく、接客も含めて購買体験をしているんだと思います。
しかしながら、ECサイトでの購入は、ECサイトでチャットボットなどはありますが、あくまでも写真や説明、ブランドに関しての理解、価格比較などを自分自身で進め、必要であれば、他者の意見(≒口コミ、知り合い、SNSなど)を参考にして購入まで意思決定します。
意思決定に接客というコミュニケーションが発生しないということです。

【ECサイトでの購入から商品利用まで】
ECサイトの閲覧

商品購入

配送

開梱(≒段ボールを開ける)

商品を使う

こういう流れがECにおける購買体験。接客無しで、お店やブランドを好きになってもらう為に、ECならではの購入体験が必要なのではないかと思っています。

私たちからの提言は、梱包に含まれる「同梱物」でコミュニケーションを円滑にし、ECの体験を向上させましょう!です。私たち消費者も商品以外に同梱物があると気持ちが変わることもあると思っています。
これも先日アンケート調査をしてみました。それがこれです。

同梱物で良く見かける同梱物

挨拶状・お礼のお手紙が一位でした。チラシや使い方、サンプル、クーポンなど複数回答をしてもらいました。

続いて次も買いたいとポジティブな気持ちになる同梱物についての調査結果

ポジティブな同梱物

半数以上が割引クーポンを支持していることがわかりました。挨拶状やお礼の手紙も高い率で支持されています。
続いて次も買いたいとネガティブな気持ちになる同梱物についての調査結果

ネガティブな同梱物

ネガティブな同梱物から見るとアンケートの同梱はあまり印象が良くないようです。紙のアンケートだと結構めんどくさいですよね?
アンケートはQRコードでギフト券プレゼントなど企画があれば回答率は上がりますので、やり方次第で変わると思っています。

まとめ

同梱物のまとめ

これは入れればOKという表面的なことではなく、もっと立体的にお客様を理解しようとイメージを膨らませて、どのようなコミュニケーションであれば、不快に感じないか、快く感じてもらえるか。これを研ぎ澄ましていくことが、消費者目線の考えを持ったコミュニケーションを実現出来るのは無いでしょうか。
実際はかなり難しいんですけどね・・・

最後に

物流2024年問題を書いていたつもりが社会課題を大きく捉えたり、消費者の利便性の追求が良いものなのかなど散らかってしまいました(苦笑)
利便性や効率ばかり求めていると寛容な気持ちが希薄になりがちではないか?また関係性や情報の取得も深掘りをせず、浅くなってしまっていないか?こんなことを日々考えている中で、様々な観点で捉えられる物流2024年問題と照らし合わせてしまったのかもしれません。

交流会やコミュニティは、そんな希薄となったコミュニケーションに少しでも彩りを与えられるような機会になれたら良いなと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました!


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