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老若男女だれが見ても面白いエンタテインメント /【ネタバレなし感想】『ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密』

見終わった瞬間に監督の頭をナデナデしてあげたくなりました。
今のご時世で“探偵”が警察に成り代わり捜査する映画が見られるとは。ミステリの面白さってこれだよなと懐かしくもあり、またこのジャンルの安定感を改めて実感した次第です。
伏線の散らし方と、それが伏線だとさりげなく見る側に気づかせる演出、またそれを回収していく際のわかりやすさと鮮やかさ。伏線はそれが「伏線」だとわかりすぎると興ざめするし、「伏線」だと気づかないと回収時の驚きも薄れてしまうので、その配置と描き方の強弱はとてもデリケートなものだと思うのですが、それらにしっかり気を配っていることに好感が持てました。
 
 また『ドラゴン・タトゥーの女』のダニエル・クレイグ、『キャプテン・アメリカ』のクリス・エバンス、『ゲティ家の身代金』のクリストファー・プラマー、『ブレードランナー2049』のアナ・デ・アルマス、『トゥルーライズ』のジェイミー・リー・カーティス、『ヘレディタリー』のトニ・コレット、『マン・オブ・スティール』のマイケル・シャノン(僕と同い年)、『少年と犬』のドン・ジョンソン、『IT/イット “それ”が見えたら、終わり』のジェイデン・マーテル(ネトウヨの孫役なんですが、ネトウヨやパヨクって字幕が面白い)と配役が豪華であり(代表作は僕の偏見に基づいてます)、容疑者となるキャストは映画の一線で活躍している人たちばかり。この場合は誰か一人だけトップクラスではダメで、全員がトップクラスであるが故に「誰もが犯人の可能性がある」と思わせるのが重要ですね。なのでオールスターキャストによる演技合戦という見方も昔からこのような映画にはありました。(逆に全てが無名のキャストでもいいのですが、これはホラー映画でよく使われる「だれが殺されてもおかしくない」というキャスティングですね)

 社会問題などをエンタテイメントに内包させることが当たり前になった今では珍しくそういったところから少し離れた、ある意味普遍的な物語はミステリの強みでもあるなと感じましたし、老若男女だれが見ても面白いエンタテインメントでした。

個人的には、観客の疑いを別に差し向けるようなミスリードが弱い気がしましたが、アナ・デ・アルマスが可愛いので全て許します。

蛇足ですが、『スター・ウォーズ』ファンとしてこれはどうしても言いたいのですが、ライアン・ジョンソンなんでよ!と思った『スター・ウォーズ』ファンは僕だけではないはず。なぜ『ナイブズ・アウト』の巧みなストーリーテリングを監督できて『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』でできなかった・・・・。と言ってももう過ぎたことで今更どうにもならないことは知ってますが、やっぱりそう思いますよね。ああ、無情。

『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』をあんなことにした犯人はだれなんだ!

鑑賞日:2020年2月5日

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「スター・ウォーズ 最後のジェダイ」のライアン・ジョンソン監督が、アガサ・クリスティーに捧げて脚本を執筆したオリジナルの密室殺人ミステリー。「007」シリーズのダニエル・クレイグ、「キャプテン・アメリカ」「アベンジャーズ」シリーズのクリス・エバンスら豪華キャストが顔をそろえる。世界的ミステリー作家ハーラン・スロンビーの85歳の誕生日パーティーが彼の豪邸で開かれた。その翌朝、ハーランが遺体となって発見される。依頼を受けた名探偵ブノワ・ブランは、事件の調査を進めていく。莫大な資産を抱えるハーランの子どもたちとその家族、家政婦、専属看護師と、屋敷にいた全員が事件の第一容疑者となったことから、裕福な家族の裏側に隠れたさまざまな人間関係があぶりだされていく。名探偵ブラン役をクレイグ、一族の異端児ランサム役をエバンスが演じるほか、クリストファー・プラマー、アナ・デ・アルマス、ジェイミー・リー・カーティスらが出演。
公開日:2020年1月31日
2019年製作/131分/G/アメリカ
原題:Knives Out
配給:ロングライド


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