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『キャッツ』の話をしているが相手の『キャッツ』の話はしてはいない/【感想】『キャッツ』

『キャッツ』ですよ。
舞台のキャッツを見たことないんですよ。まずそのことをお見知り置きいただいてから感想を読んでいただけたらと思います。
ビジュアルがどうとか、もう今更言うまでもないので省きますが、映画としてどうなのか?ってところだけしか僕は語るすべがないので、その「映画として」の視点で感想を述べたいと思います(始めから言い訳)。

観ていてわかります。舞台という場で見れば演者の身体性の魅力が伝わる様が。映画を見ながら舞台だとあの躍動感に驚くんだろうなぁと思い出したらスクリーンがただの媒介になってしまうなと気づきなんともやるせない気持ちに。あと身体性という意味ではあきらかにCGだったりするのはどうなのかな。
そんなことを思いながら目の前に映る奇怪な人の形をした猫を見ながら、ネズミとゴキブリも人間が演じて、笑顔で行進するゴキブリたちを猫がムシャムシャと食べる。
これは映画ですよ(笑)
やはり僕は映画というものに没入する快楽を味わいたい。
いつでも映画に飛び込む気持ちで向かい合っているつもりなんですが、『キャッツ』は全力でそれを拒んできやがるのです。
というか僕の理性が拒むのです。いや、本能が拒むのです。いやそう囁くのです、私のゴーストが。

『キャッツ』ファンの友人はこれを見て号泣したっていうじゃありませんか。「どこで?」と思うじゃないですか。
 そのあたりの意見をすり合わせるとですね、いままでの『キャッツ』の歴史を知り、なおかつそれらを何度も繰り返し見続けた人にとってこの映画はそもそも『キャッツ』なんです。しかし『キャッツ』を見たことない人にとってこれは「映画ではない」と思ってしまうのです。

映画ファン「ストーリーがない」
キャッツファン「ストーリーはありません!」

映画ファン「なにが言いたいのかわからない」
キャッツファン「“やっぱり猫が好き”ってことです」

映画ファン「猫が気持ち悪い」
キャッツファン「もともと気持ち悪いんです」

映画ファン「猫は犬にあらずってどう意味?」
キャッツファン「猫は犬じゃないってことです」

こんな感じで、実は両者は『キャッツ』の話をしているが相手の『キャッツ』の話はしてはいないのです。

映画ファンの立場である僕にとっては映画『キャッツ』とはご縁がなかった。ただそれだけだと思います。

鑑賞日:2020年1月29日

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1981年にロンドンで初演されて以来、観客動員数は世界累計8100万人に達し、日本公演も通算1万回を記録するなど、世界中で愛され続けるミュージカルの金字塔「キャッツ」を映画化。「レ・ミゼラブル」「英国王のスピーチ」のトム・フーパーが監督、スティーブン・スピルバーグが製作総指揮を務め、英国ロイヤルバレエ団プリンシパルのフランチェスカ・ヘイワードのほか、ジェームズ・コーデン、ジェニファー・ハドソン、テイラー・スウィフト、ジュディ・デンチ、イアン・マッケランら豪華キャストが共演した。人間に飼いならされることを拒み、逆境の中でもしたたかに生きる個性豊かな「ジェリクルキャッツ」と呼ばれる猫たち。満月が輝くある夜、年に一度開かれる「ジェリクル舞踏会」に参加するため、街の片隅のゴミ捨て場にジェリクルキャッツたちが集まってくる。その日は、新しい人生を生きることを許される、たった一匹の猫が選ばれる特別な夜であり、猫たちは夜を徹して歌い踊るが……。
公開日:2020年1月24日
2019年製作/109分/G/イギリス・アメリカ合作
原題:Cats
配給:東宝東和


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