3月6日、伊藤計劃が死んだ日をnoteにアップロードした。 この文章を書いたおかげでやっと、幼稚園児の頃から悶々としていた疑問を言葉にすることができそうだ。 当時、「この世にはこんなにたくさん人がいるのに、なんで自分の感覚しか感じられないんだろう」みたいな思考に陥っては怖くなっていた。 ありとあらゆる人間や動物を含めた「生命」がそこら中にいるのに、なんでこの「意識」は、茨城県○○市△△町□□丁目●●番▲▲号の2階の寝室で横になっている僕に宿ったんだろう。なんでわざ
※この記事は、伊藤計劃『ハーモニー』(ハヤカワ文庫JA)のネタバレを含みます。 私が食べた肉。私が飲んだ薬。それらはすべて私になっていく。 昔々、宇宙はビッグバンから始まった。その3分後に原子核が、24万年後に原子が生まれた。 生命は、そういった科学の――たとえば相対性理論の――悠久の時に明滅する結節点に過ぎないのだ。 ある日、その生命に「意識」が宿った。だから不安や喜びが生まれた。弱さや強さが生まれた。神が生まれた。タマシイが生まれた。人類は古来より、そのタマ