見出し画像

【ネタバレあり】劇場版『名探偵コナン 黒鉄の魚影(サブマリン)』感想

まず、上映が終わって浮かんだ率直な感想は―――

『やりやがった!!!』

『二年連続最高傑作出してきたな!!!』


でした。
要するに、めちゃめちゃめちゃめちゃめちゃめちゃ面白かったです。

脚本は『純黒の悪夢』『ゼロの執行人』『緋色の弾丸』の櫻井武晴さん。
最近は『紺青の拳』『ハロウィンの花嫁』の大倉 崇裕さんと交代で劇場版脚本を書いていますね。
コナン映画は他のスタッフの態勢次第というか映画の題材次第というか、とにかく同じ脚本家さんでも当たりはずれの幅が非常に大きいように感じますが、今回は大当たりだったなと思いました。

ただ、流石にほぼ二年をかけて作った『ハロウィンの花嫁』よりはいくらか穴がある印象です。しかしそれも、スタッフの制作不足というよりは尺に収めるために仕方なくという印象を強く感じましたね。
(※老若認証システムを確認して「こいつがシェリー…?」と察しが良すぎるウォッカとか、佐藤刑事が散々捜査で大活躍してきたコナン君を普通の子供が言ってることのように疑うシーンとか…違和感はあるけど別にその違和感の解消に尺割かれてもなっていう箇所が多々)

尺関連で言えば哀ちゃんの「こどもの言うことで自分が大きく変えられることもある」的なシーン、あれきっと歩美ちゃんのことですよね。
あそこも尺があれば回想シーン挟みたかっただろうなあと、スタッフの悔しさを勝手に感じていました。

多分ここのことだと思う

そして、今回特筆すべきは本編関連の描写の数々。昨年の『ハロウィンの花嫁』に続きコナンを20年以上見続けてきたファンに対する嬉しい描写がふんだんに詰め込まれていましたね。まず、

キールが大活躍している。

冒頭いきなりキールの場面

一時期は存在を忘れられてるんじゃないか?というくらい出番がなかったキールが大活躍!!個人的にかなり興奮した要素でした…!!
今までありそうでなかった組織でスパイしているキャラがターゲットを如何に組織にバレないように逃がしているかという描写ががっつり見られたのが良かった。
そして、ゲストキャラの「直美・アルジェント」の父が暗殺された(生きてたけど)のを見て拳を握りしめるキール。こんな場面を見たらキールが思うことは一つだけ…あの「過去の事件」のことだろう、とキール編が大好きな私は心にズドンと来ていましたが、まさか、まさか、回想シーンまで差し込まれるとは思いませんでした!!!!
イーサン本堂がしっかり台詞ありで回想されるところにスタッフのこだわりを強く感じましたね、とても良い描写でした。

次に良かったところは、

まさかのアイリッシュ、キュラソーの登場。

アイリッシュ
キュラソー

めっっっっっっちゃ嬉しかった。。。
本編が縦軸で進行している以上コナン映画は本編には影響を与えず、本誌では映画の組織メンバーは存在していません。だから映画で敵に新一や灰原の正体がバレるわけがないし、正体を知った敵は映画内に漏れなく始末されてしまうのです。
だから、アイリッシュやキュラソーといったメンバーも今後出番がないものだろうと当たり前に思っていました。でも、心のどこかで思っていました。今の柔軟になったコナン映画なら、松田刑事の空白の1週間を使って超絶クオリティの劇場版をつくった今のコナン映画なら、組織大フィーチャーのこの機会にこの二人も存在に言及されることぐらいはあるのではないか…と。
ありがとう…この二人が確かにコナンの歴史の中に生きてくれていると知れて本当に感無量でした。『漆黒の追跡者』も『純黒の悪夢』も大好きな映画です。
(あとテキーラとピスコも言及されてたね。ファンサービスすごいね。ほんとにてんこ盛りで嬉しいね。)


加えて、組織関連でいうと

赤井と安室は添えるだけ。

僅かな時間で顔の良さを見せつける男
僅かな時間で顔の良さを見せつける男その2

最近出ずっぱりだったこの二人が終始脇役に徹していたのも良かったです。
ファンサービスにしても『ライ』『バーボン』呼びに留めたのも英断だったと思う。ていうか、その僅かなファンサービスが致死量だったんですけどね!!!!
あくまで今回はフィーチャーされるのが「哀ちゃん」と「組織そのもの」っていうのがここのシーンでも一貫してて良かったです。
だからこそ『赤井』と『降谷』ではなく、『ライ』と『バーボン』なんだろうしね…あぁ…本当に良い塩梅でした。

他にも語りたいところはたくさんありますが(泣き崩れる博士、久しぶりに前線で対組織してた蘭、イケメン極めまくったコナンくん、普通の極悪人ピンガ、癒しキャラウォッカの珍しい外道ぶりなど)あまりにもキリがないので、最後にこのキャラを語って締めとします。

間違いなくこの映画の主役だった、『灰原哀』さん。

立派になったね、哀ちゃん

灰原のあらゆる良さが詰め込まれていましたね。灰原は登場したての頃は本当に後ろ向きで組織がいつ殺しにくるかずっと怯えているような子でした。
それが、バスジャックを経て、二元ミステリーを経て、少しずつ変わり、前を向くようになっていった。
そして彼女を変えたのはコナン君であり、博士であり、少年探偵団なんだよなあと、彼女こそこどもの力で前を向けた人間なんだなあと、そして彼女が今度は救う側に回るのが本当によかった。かっこよかった。
(予告では助けられるだけな感じに見えたからなおのこと良かった)

それとは別に

『今、キスしちゃったんだよ』は流石にやりすぎだと思ったww

いや私は今回の映画否定的に見てるわけではないので、悪いわけではないんですけど、そこまでやっていいの!?と正直思ってしまった笑
今コナン見てるのってずっとコナンを見続けてきた大人世代がメインな気がするから別にいいのかもしれないけど、すごく大人向けになったなあとしみじみ感じましたw
蘭と灰原のキスもすごくえろ.…いや、大人っぽい描写ですごかったですね!

【総評】

前回の映画は「警視庁」、今回の映画は「黒の組織」のオールスター映画という感じで、コナンを細かく見ていれば見ているほど気付けることがたくさんあってとにかく楽しい2年間でしたね。
こういうコアな描写とかを存分に組み込んだり、本編にがっつり踏み込んだりする最近の風潮は、コナン映画が積み上げてきた歴史を感じてとてもいい気持ちになれるので素晴らしいなあと個人的には思ってます。
(10年前とかこんなに踏み込んだ内容で映画がやれるなんて思ってもみなかったしね。マンネリ打破のためにいよいよ本腰入れてきた感ある)
こういう作品が続けて見れるのは嬉しいけど来年は一旦小休止って感じかな。個人的に「平次」も「キッド」も嫌いではないけど本筋にはあんまり絡まないキャラなので、来年の映画は気楽に見ることにします。

ということで、今回の「黒鉄の魚影」最高でした!!!
忘れたころにもう一回くらいまた見たいなあ。

画像出典:©青山剛昌/名探偵コナン製作委員会





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?