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私とピエール・バルーとサラヴァ

今から20年近く前、伊藤ゴローさんの家でギターレッスンをしていた時、バーデン・パウエルの独特の硬いサウンドの話になった。硬質な音の秘密はサウンドホールではなく、限りなくブリッジに近いところで強靭な爪で16ビートを刻みながら弾く、その独特なスタイル。

しかし、若い頃のゴローさんはその演奏方法より、バーデン・パウエルが薬指と小指にタバコを挟んで演奏する姿に憧れたそう。当時はYouTubeで気軽に映像を見ることもできず、どうしたらそのバーデンの演奏が見れます?と教えてくれたのが、ドキュメンタリー映画「サラヴァ 」のDVDだった。

これが「私とピエール・バルーとサラヴァ」との出会い。

レコーディング最中なのに忙しなく演奏しながらタバコを吸うバーデン。そして、何より、ドキュメンタリーなのにほぼ字幕がなく完全に当時の空気感を収めた不思議な作品。

映画の最後にこの作品の監督である「ピエール・バルー」がバーデン・パウエルと共に歌う「Samba Saravah」。そして、映画「男と女」で「Samba Saravah」がピエールによって弾き語れ、レーベル「Saravah」と続いていく旅。

ブリジット・フォンテーヌ、ルイス・フューレイ、ダニエル・ミル、ナナ・ヴァスコンセロス...気づけば自分も旅の同伴者になっていた。

残念ながら、自分はピエール・バルー本人をステージで見ることは出来なかった。ただ、そのスピリッツの様な物は、不思議と自分の周りを漂っている感覚がある。正直、自分より下の世代になかなかサラヴァの魅力を伝え辛く、何よりどの時代で区切っても様々な表現をしており、レーベルとしての色がなかなか見えづらい。ただ、そこが「一期一会」を信条としたピエール・バルーらしい。大人が真剣に遊んだカッコいい姿だと思う。


世界最古のインディペンデントレーベル「SARAVAH」創立55周年、レーベル主幹ピエール・バルー没後5年となる本年。特別企画展「ピエール・バルーとサラヴァ」を東池袋 KAKULULUで開催します。ピエール・バルー、SARAVAHレーベル・アーティスト、「男と女」の写真を初め、南仏で開催されたフェスの貴重な映像も公開予定。

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10/5(火) 20:00からオープニングイベント「私とピエール・バルーとサラヴァ」と題して、ボサノヴァ・ギタリストである「伊藤ゴロー」さん、「クワイエット・コーナー2 日常に寄り添う音楽集」を出版されたばかりの「山本勇樹」さん、SARAVAHレーベルの楽曲管理者でもあるコア・ポートから「高木洋司」さんによるトーク。

そして2016年にサラヴァ・ジャズの音源をコンパイルしたDJ大塚広子さんによる全曲サラヴァ音源によるDJをKAKULULU YouTubeチャンネルにて
無観客無料配信します。

こちらの「ピエール・バルーとサラヴァ」は巡回企画展となっており、八戸ソールブランチ新丁、盛岡ブック・ナードと続きます。

この秋、ピエ-ル・バル-のフィロソフィーに触れてみてください。Saravah!


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